株価暴落「投資」と「ギャンブル」はどこが違うのか 投資が「ギャンブル化」してしまう大きな勘違い
このように、投資での儲けは、①企業の利益もしくは②他のプレーヤー(投資家)からの支払いによって成り立っています。
一方、ギャンブルはプレーヤー同士でお金を奪い合うゲームです。その儲けは②他のプレーヤー以外から支払われていることはありません。
つまり、投資とギャンブルの違いは、企業の利益の存在にあります。厳密にいうと企業の利益が“増えているか”ということです。
業績の予想(①)に変化がなくても、買う人がいれば株価は上昇します。1000円だった株価が1500円に上昇すれば、500円の含み益が存在するので株主は喜びます。
しかし、このまま保有しても配当が増えるわけではありません。この株価上昇の利益を実現するためには、1500円で買ってくれる別の投資家(②)を見つける必要があります。
株式市場では株価は刻々と動いています。企業の利益(①)の見通しが変わったわけでもないのに、その動きの中で儲けようと一喜一憂するのは、別の投資家(②)から儲けようとするギャンブルと同じです。
誰もが安く買って高く売ろうとしますが、そのうちの半数は「安く売らされて高く買わされる」側になります。
「ギャンブル投資家」が増えると値動きが激しくなる
政府が「貯蓄から投資へ」と勧めている背景として、賃金などの労働所得を増やすのが難しいため、配当などの資本所得を増やそうとしていることがあります。これは①によるものです。
政府がすすめるNISAも長期的な資産形成を目的に作られた制度です。今日や明日に株を売却するわけではないので、日々の値動きに振り回されることなく長期的に少しずつ積み立てていくことが重要です。
また、株価変動を安定させるためにも、長期的に株を保有する人たちの存在が必要です。
「株式持ち合い」という言葉がありますが、これまで日本では企業同士で株を持ち合うことが多くありました。株を持ち合っているうちは、安定的に保有されているので売買されることはありませんでした。しかし、現在では持ち合いを解消する動きが進んでいます。
株を保有する人が、安定保有してくれていた企業から、NISAなどで株を購入する個人投資家に移ると、どうしても変動が大きくなります。
なぜなら、こういった個人投資家は、積み立てNISAを利用した長期保有目的の投資家だけではないからです。日々の値動きに一喜一憂しながら売買する人が増えると、株価の値幅は大きくなります。今回、日経平均株価が4400円を超える過去最大の暴落を起こしたのも、個人投資家による信用取引が増えていることが原因ともいわれています。
4万2000円を超えた日経平均が1カ月も経たずに1万円も下落したことで、長期保有目的でNISAを始めた人たちの中にも、NISAを解約したほうがいいのではないかと動揺している人も多いようです。しかし、こういうときこそ投資の目的を振り返って足元を見つめ直すことが必要だと思います。
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