「刀剣乱舞」企業をサイバーが167億円買収の衝撃 悲願成就へ「過去最大規模M&A」に打って出た

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サイバーエージェントはもともとM&Aに対してさほど前のめりではなかったが、ここ数年はIP関連企業の買収を積極化してきた。2022年には日本アカデミー賞受賞監督の藤井道人氏を擁する映画・ドラマ制作会社のBABEL LABELを、2023年には『テニスの王子様』などの2次元コンテンツを原作とした「2.5次元舞台」の有力制作会社・ネルケプランニングを矢継ぎ早に買収している。

背景にあるのが、創業者である藤田社長のIPビジネスに対する関心の高まりだ。

サイバーエージェントは祖業の広告代理や動画配信サービス「ABEMA」など多岐にわたる事業を展開する一方、海外への本格進出が積年の課題だった。海外売上比率は現状1割に満たず、藤田社長自身「海外はつねに狙っているが、明確に売れるものがずっとない状態だった」と振り返る。

そんな中、海外市場の成長が著しいアニメなどの領域においてIPビジネスで成功することができれば、おのずと「世界のサイバー」への道が拓けてくる。そうした狙いから、自社のノウハウでは心もとないIPビジネスを、M&Aもフル活用しながら強化してきたのだ。

功を奏した藤田社長の"作戦”

もっとも、IPビジネスに関心を示すのはサイバーエージェントだけではない。4月に実施した東洋経済のインタビューで藤田社長は、「世界的にヒットするようなIPを保有している状態になりたい。売っているなら、本当は買ってもいいぐらい。ただ、みんな(価値に)気付いてしまったので売っていない」と漏らしていた。

そこで藤田社長が採ってきたのが、「日頃の行いをよくする作戦」だ。

スマホゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』を生み出した有力子会社のサイゲームスをはじめ、エンタメ子会社に過度な干渉をせず、自由な環境を与えてきた。こうした姿勢が業界内で評判となり、BABEL LABELとネルケプランニングの買収では、ともに先方から提携話が持ち込まれることとなった。

今回のニトロプラス買収も、まさに藤田社長の「日頃の行い」が実を結んだ案件だった。

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