「刀剣乱舞」企業をサイバーが167億円買収の衝撃 悲願成就へ「過去最大規模M&A」に打って出た

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実はニトロプラスの小坂崇氣(こさか・たかき)代表は、ネルケプランニングの社外取締役を兼ねている。サイバーエージェントによるM&Aが決まった当初、小坂氏はネルケプランニングのよさが失われることを危惧していたという。

サイバーエージェント代表の藤田晋氏とニトロプラス代表の小坂崇氣氏
サイバーエージェントの公式オウンドメディアに掲載された、同社の藤田社長(左)とニトロプラスの小坂崇氣代表の対談の様子(写真:サイバーエージェント公式サイトより)

しかし、サイバーエージェントが6月下旬に公開したオウンドメディア記事で小坂氏は「まったくの杞憂でした。サイバーエージェントの方々はネルケの方針や文化を尊重している印象を持ちました」と明かしている。これが契機となり、ニトロプラスの社内制度設計に課題感を抱いていた小坂氏自身から、藤田社長に接触。藤田社長の作戦勝ちとなった。

今後の注目は、サイバーエージェントが立ち上げを進める「IP創出特命部隊」との連携による新規IP創出だ。

同部隊は、次期社長候補の筆頭と目される山内隆裕専務の下、クリエーターとのコミュニケーション、テクノロジーによる制作・マーケティング支援などを担うことを想定しており、ニトロプラス側がクリエーティブに専念できる環境づくりが期待される。

海外強化で期待に応えられるか

一方で気がかりな点もある。

ニトロプラスの小坂氏は前出のオウンドメディア記事において、「ニトロプラスの唯一無二の個性を持った作品をサイバーエージェントとともに質を高めて世界に送り出していきたい」と展望を語っていた。しかしサイバーエージェントはむしろ、海外進出で後れを取っている状況だ。ニトロプラスの期待に応えるためには、海外マーケティングなどの機能強化を急がなければならない。

サイバーエージェントはビッグディールを経て、ニトロプラスの価値最大化に貢献することができるか。“世界のサイバー”に向けた試金石となりそうだ。

東洋経済オンラインのデジタル特集「サイバーエージェント ポスト藤田時代の茨道」では、藤田晋氏へのロングインタビューをはじめとする記事を掲載しております。※全文閲覧には会員登録が必要です。
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サイバー藤田氏が明かす「アニメに傾注」説の真相(藤田氏ロングインタビュー前編)
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森田 宗一郎 東洋経済 記者

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もりた そういちろう / Soichiro Morita

2018年4月、東洋経済新報社入社。ITや広告・マーケティング、アニメ・出版業界を担当。過去の担当特集は「サイバーエージェント ポスト藤田時代の茨道」「マイクロソフト AI革命の深層」「CCC 平成のエンタメ王が陥った窮地」「アニメ 熱狂のカラクリ」「氾濫するPR」など。

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