だから日本の中古住宅はいまだに買いにくい

政府肝いりのリフォームローンが不調なワケ

経済産業省は消費者保護の観点から、提携リフォームローンを割賦販売法の適用対象とし、提携ローンを扱う金融機関には「登録個別信用購入あっせん業者」として届出を義務づけた。ただし、消費者がリフォーム事業者とは無関係にみずから金融機関に出向いて借りるリフォームローンを扱うだけなら届出を行う必要はなく、クーリング・オフ制度も適用されない。

トラブルが起きやすいリフォーム工事

金融機関は、法律に基づく建築確認審査を受けて、建設業許可登録業者である住宅メーカーや工務店が施工した新築・中古住宅を担保に、住宅ローンを融資してきた。ただ、建築確認も建設業許可登録も不要な一般リフォーム工事を、個別案件ごとに金融機関が審査するのは困難だ。そこで信頼できる事業者と提携してリフォームローンを販売してきたわけだが、割賦販売法改正でクーリング・オフへの対応に迫られることになった。

国民生活センターによると、住宅リフォーム工事に関する相談件数は、2008年度以降も増加傾向にあり、経産省でも割賦販売法改正後もリフォーム工事のトラブルは減っていないとの認識だ。中古住宅、特に築年数が古い物件では壁や床を剥がしてみて初めて問題が発覚するケースが少なくない。消費者に事前に十分に説明しても追加工事などを巡ってトラブルが発生しやすいのも事実である。

「消費者が予算オーバーなどを理由にクーリング・オフを行う可能性は十分に考えられ、金融機関のリスクが大きすぎる」(大垣教授)。割賦販売法改正のあと、地方銀行を中心にリフォームローンの取り扱いを停止・縮小する金融機関が続出。住宅業界からも提携リフォームローンを取り扱う金融機関が減って利用しにくくなったとの不満も出ていた。

経済産業省では、割賦販売法改正から5年が経過した昨年9月に、産業構造審議会の割賦販売小委員会を立ち上げ、クレジット取引の制度見直しに着手。昨年暮れの中間とりまとめ公表を受けて、今年1月に全国銀行協会では提携ローンに関する規制緩和の意見を提出していた。ところが、今年7月の最終報告書では「現段階において法の規定を適用除外とする措置を要するほど具体的な必要性が示されているとはいえない」として提携ローンの緩和見送りを決定したばかりだ。

確かにリフォーム工事の大半は100万円以下の小規模案件が多く、現状ではリフォームローンの需要は限られている。中古住宅の購入時にリフォーム工事を行う場合でも、住宅ローンの借入に合わせて金融機関にリフォームローンを申し込めば割賦販売法の適用は受けないで済む。審議会ではリフォーム工事のトラブルを防止するための有効な対策も示されていない現段階では、規制緩和の必要性はないと判断したようだ。

増える空き家のリノベーション

しかし、最近では若者層を中心に中古住宅を購入してライフスタイルに合わせてリノベーション(大規模改修)を行うニーズが着実に増えてきている。日本は7軒に1軒が空き家になっており、今後は大量の空き家を有効活用することが大きな課題となっている。そのためにリフォーム市場を拡大するためのさまざまな政策が検討されているところだ。

そこで、政府が中古市場の活性化策として打ち出したのが、中古住宅の購入費用とリフォーム費用を一括で融資するリフォーム一体型住宅ローンの普及だ。従来のリフォームローンは、住宅ローンに比べて金利が高く、融資期間も短い。住宅ローンとリフォームローンを併用した場合、融資期間が重なる部分で返済負担が重くなる欠点があった。

リフォーム一体型住宅ローンは、2つまとめて融資期間を長期に設定でき、返済負担も軽減できるのでリノベーションに適した商品だ。最近では取り扱い金融機関も増え始めているが、認知度が低いこともあって融資実績はまだ多くない。そこで国土交通省が普及を支援しようと、今年4月に住宅金融支援機構法を改正し「フラット35(リフォーム一体型)」を導入した。

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