なぜ日本の公園は、あれもこれも禁止なのか いまどきの公園は自ら稼いで街を潤す

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これは、単に財政的制約だけでなく、ヨーロッパの公園のように多くの市民にとってその場所が価値を持つような素敵なレストランやカフェや野外音楽堂という付帯機能を併せ持つことで、周辺エリアの価値をも引き上げるような公共財を目指したとも言えます。おカネがないからこそ、生まれた知恵と価値とも言えます。

今、国や地方自治体が保有する公的不動産の価値は、約570兆円(国交省発表)と言われています。

これまでは公共関連資産は「税金で作り、税金で維持する」ということを前提としているため、これらの資産を積極的に活用しようという話は、一部でしか議論されてきませんでした。

民間が公的資産を使い、公共サービスを改善する時代

しかし人口縮小社会となり、財政難で公共財産の管理予算は先細ってきています。市民の特定利用はできるだけ排除してきた公共空間の運営方法に終止符を打ち、新たな公共資産の活用方法に目を向ける必要が出てきています。公園一つとっても、まだまだできることは山ほどあります。

その一方で、民間活用というとすぐに指定管理の手法がとられがちです。これは、民間企業などに包括的な業務委託を可能にする制度ですが、ともすれば丸投げすることになったりします。それでは結局行政の支出が多少減るだけで、意味がありません。

8月28日「地方創生サミット」を開催します。詳しくは、画像をクリックして下さい。

本来は、公的資産の一部を民間企業が利用する場合には、入札によって適切な家賃・管理費を行政側に支払うのが望ましいあり方です。

行政側は、その上で多くの人に向けた公共サービスの充実にその歳入を活用する。正常な行政と民間の関係はこの形だと言えます。

もちろん、公共資産の全てを事業活用するなどということまでは必要ありません。

しかし、570兆円の資産のうち、もし1割の約60兆円でも有効活用されれば、公共サービスはさらに充実させる可能性があるのです。

従来の公共資産の運営方法を今一度見直すことで、人口縮小社会でも公共資産の管理やサービスの維持を諦めず、発展させることさえ可能なことが多くあるのではないでしょうか。

(参考資料)進士五十八「日比谷公園〜100年の矜持に学ぶ」

8月28日(金)「地方創生サミット」を開催(東洋経済新報社主催)することになりました。地方創生に必要なのは「稼ぐ民の力」です。「食」「医療・福祉」「金融」「教育」などの分野で大活躍をしている、全国の実践者たちが集まります。私もたくさんお話しますので、ご興味のある方はぜひお越しください。


 

木下 斉 まちビジネス事業家

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きのした ひとし / Hitoshi Kinoshita

1982年東京生まれ。1998年早稲田大学高等学院入学、在学中の2000年に全国商店街合同出資会社の社長就任。2005年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業の後、一橋大学大学院商学研究科修士課程へ進学、在学中に経済産業研究所、東京財団などで地域政策系の調査研究業務に従事。2008年より熊本城東マネジメント株式会社を皮切りに、全国各地でまち会社へ投資、設立支援を行ってきた。2009年、全国のまち会社による事業連携・政策立案組織である一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンスを設立、代表理事就任。内閣官房地域活性化伝道師や各種政府委員も務める。主な著書に『稼ぐまちが地方を変える』(NHK新書)、『まちづくりの「経営力」養成講座』(学陽書房)、『まちづくり:デッドライン』(日経BP)、『地方創生大全』(東洋経済新報社)がある。毎週火曜配信のメルマガ「エリア・イノベーション・レビュー」、2003年から続くブログ「経営からの地域再生・都市再生」もある。

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