企業のAI投資は95%が失敗している、マサチューセッツ工科大学NANDAプロジェクトが明らかにした衝撃の事実。成功している5%の共通点とは?

生成AIへのグローバル企業支出は年間約4.5兆~6兆円(300億~400億ドル、2025年予測)に膨らんでいる。その一方で、その支出によって得られる成果は大きくないようだ。
今年8月にMIT(マサチューセッツ工科大学)が公表したNANDAプロジェクト(企業300社のAI導入事例を検証、150人の経営幹部にインタビュー)の集計によると、AI投資から十分なリターンを得ている企業はわずか5%にすぎず、95%は失敗に終わっているという。
「AIバブル崩壊」を想起させる調査内容
この衝撃的な数字は、生成AIが利益や生産性向上をもたらせない「AIバブル崩壊」への懸念を広げ、9月に入ると、AI関連企業の株価が下がるなど株式市場にも波紋を与えた。その不安は今なお続いている。
しかし、この問題の本質を掘り下げれば、AI技術そのものではなく、企業側の戦略、業務フローとの統合、投資の継続性、ガバナンスの欠如が明確な原因だとわかる。端的に言えば、多くの企業がAIの利用の方法を間違っているのだ。真に成功を収めるためには、企業の組織構造やバリューチェーン、そして業務フローの抜本的な変革が不可欠である。
95%という、あまりにも高い失敗率の最大要因は、多くの企業が自社業務の特性を軽視し、汎用的な市販AI製品をそのまま既存の業務プロセスに無理に導入している点にある。結果、性能不足の“公式AI”は現場で敬遠され、よりスピード、精度、理解力に優れた個人利用のAI(「シャドーAI」)を従業員の90%が積極的に使用している(NANDAの調べ)。同調査によると、企業が公式AIを提供する割合は約40%にとどまっていることもシャドーAI利用を増やす理由になっている。
最近の典型的な失敗事例を見てみよう。
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