スバル「初代インプレッサ」が残した名声と課題 熱狂的ファンを作るも素直に成功と言い切れず

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このWRCでの日本車の活躍に、国内は大いに盛り上がった。F1やパリダカールラリーなど、1990年代の日本は、モータースポーツの人気が非常に高かったのだ。

そうした国内の熱気に後押しされるように、インプレッサはさまざまな高性能バージョンを世に送り出す。モータースポーツ参戦を主眼とする競技仕様のWRX RAに始まり、1994年からは、さらなる高性能なSTiバージョンを登場させる。

スバルテクニカインターナショナル
STi(スバルテクニカインターナショナル)が手掛けたモデルがイメージリーダーとなっていく(写真:SUBARU)

ちょうど、WRCでライバルであった三菱自動車からも「ランサーエボリューション」シリーズが発売されており、自動車媒体では「インプレッサSTi対ランサーエボリューション」が定番の比較記事になっていた。

つまり、1990年代前半の国内のモータースポーツ熱の高まりにあわせて、インプレッサは大いに注目されていったといえる。

販売を支えたスポーツワゴンという存在

1970年代から1980年代にかけてのレオーネは、クルマ好きからの評価こそ高かったものの、知名度という点では相当に低かった。それが、インプレッサはWRCでの活躍もあって、レオーネとはまったく異なる存在感を発揮した。

ちなみに、スポーツイメージの強い初代インプレッサではあったが、販売台数で見ればスポーツワゴンのほうが売れていた。初年度こそ、セダンとスポーツワゴンの販売は拮抗していたものの、発売から3年以降は、つねにスポーツワゴンのほうが、セダンよりも数多く売れていたのだ。

スポーツワゴンにもターボエンジン搭載のWRXグレードを用意し、人気を博した(写真:SUBARU)
スポーツワゴンにもターボエンジン搭載のWRXグレードを用意し、人気を博した(写真:SUBARU)

今ではピンとこない人も多いだろうが、1990年代当初のステーションワゴンは、今のSUVのような売れ筋のジャンルであった。逆にSUVはクロカン4駆(クロスカントリー4WD)などと呼ばれ、もっと土の香りが強かった。

人気のあったパリダカールラリーの影響もあっただろう。具体的には、三菱「パジェロ」、トヨタ「ランドクルーザープラド」、日産「テラノ」などが売れていた。

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