世界の自動車業界は世界的な経済低迷で減速するが、見通しは安定的《ムーディーズの業界分析》

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日本では、3月の東日本大震災の影響もあり、11年の需要は前年比で16%減少するとムーディーズは予想している。前回の予想では、前年比10.1%の減少としていた。今年の第4四半期から12年第1四半期にかけて生産の回復が見込まれるため、12年は7.3%増加すると予想している。

日産自動車(Baa1ポジティブ)は、12年3月期の世界の自動車販売台数を前年比10%増と見込むが、トヨタ自動車(Aa3 安定的)は連結ベースで同4%増、ホンダ(A1安定的)は同2%増を見込んでいる。この回復格差は、地震発生前のサプライチェーンにおける部品在庫水準の違いに一因がある。

生産台数の回復にもかかわらず、日本のメーカーはここ3年間の対米ドルでの円高という逆風に直面している。1ドル=80円でも、日本で生産した自動車を輸出することで利益を上げるのは難しく、日本の自動車メーカーの収益性の足かせとなっている。米国販売の輸入比率は、トヨタと日産が3割以上であるのに対し、ホンダの輸入比率は13%にすぎない。原材料費の値上がりや世界経済の不透明な見通しと同様、円高は短中期的に日本の自動車メーカーの収益と利益率に重くのしかかるだろう。

図4:円高が日本の自動車メーカーに打撃

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