世界の自動車業界は世界的な経済低迷で減速するが、見通しは安定的《ムーディーズの業界分析》
地域ごとの主要なトレンド
欧州
ムーディーズは現時点で、西欧の乗用車需要を約1430万台と見ており、前年からの減少率は1%未満にとどまると予想している。これは、前年比で1%の減少という年初時点の予想を11万台上回る。フランスとドイツの堅調な需要が、イタリアとスペインの予想を下回る需要を十分に相殺すると見られるためである。ただし、依然として低成長が続くため、自動車市場が活況を呈することはないであろう。加えて欧州メーカーは、ドル安と過剰生産能力によるマイナスの影響も受けている。
欧州におけるソブリン危機の問題による自動車金融子会社の資金調達コスト等への影響が懸念されるが、現時点ではムーディーズでは大きな影響はないものと見ている。
ほとんどの欧州諸国は現在、不透明感の高まりを反映して、自動車需要の見通しを下方修正している。欧州自動車メーカーのゼロ成長シナリオは欧州市場に依存するメーカー(プジョー、ルノー、フィアット)にとって大きな脅威である(下表)。BMW、ダイムラー、フォルクスワーゲンなどのドイツメーカーは中国での強い需要を背景に健闘しており、フォルクスワーゲンとフィアットはブラジル市場でも順調な業績を上げている。これらの新興市場での成長が欧州市場のマイナスの影響を和らげている。
図2:欧州に重点を置く自動車メーカーは新興市場を見据えるメーカーに出遅れ
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