世界の自動車業界は世界的な経済低迷で減速するが、見通しは安定的《ムーディーズの業界分析》

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米国

米国では、昨年の構造的なプラス要因が剥落したため、増益ペースは減速している。ムーディーズは、11年の販売台数の伸び率の予想を12%から8.1%に下方修正した。12年の乗用車販売台数は、前回の予想の1500万台を50万台下回る1450万台、前年比16%増と予想している。

フォードとGMは09年以降、自動車セクターのリストラ、自動車需要の回復、大幅に再生した製品ポートフォリオにより収益は大幅に改善した。11年6月までの過去12カ月間に、フォードは北米部門において約70億米ドルの利益を上げ(09年は6億米ドルの損失)、GMは09年の倒産後、北米で75億米ドルの利益を上げた。クライスラーも改善したものの、GMやフォ−ドに比べて新型モデルや製品が少ないことから、改善幅は小幅にとどまっている。

米国大手3社の利益率の改善ペースは、自動車需要の回復の遅れを背景に、12年は鈍化するものと見られる。東日本大震災によるサプライチェーンの寸断から回復しつつある日本のメーカーとの競争の激化、コモディティ価格の上昇、消費者需要の小型車へのシフトなどが要因である。

北米市場の09年の自動車販売台数は1041万台と低調であったが、今後は需要の回復が続くであろう。北米市場の中期成長見通しは魅力的であり、米国、欧州、アジアの自動車メーカーにとってより収益を出せる地域である。しかし、10年と11年の収益回復を経て12年の業績は横ばいとなる可能性が高い。

新興市場

新興市場(中国、インド、ブラジル、ロシア)は引き続き自動車の成長を牽引するが、ほとんどの新興諸国は金融引き締めにより成長を減速させる方針であり、ムーディーズは中国とインドの成長予想を下方修正した。ムーディーズは業界の中長期的な成長見通しは良好と見ており、これら新興市場の自動車メーカーは、長期的には既存ブランドとの強力な競争相手になると予想される。韓国メーカー(起亜自動車、現代自動車)はすでに実力を証明しており、将来的には他の新興市場のメーカーも追随するであろう。

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