15年間「果物だけ」を食べ続けてわかったこと 医師の「フルーツの食べ過ぎに注意」に異議あり

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一方で、予防は主に健常者が対象です。ある生活習慣を持つ健常者が、がんや脳卒中などになるリスクを調べたいと思えば、比較のために大人数でかつ、10年、20年といった長期間の研究が必要になります。

科学的な信頼性という意味では、複数のグループに分けたヒトでの「実験」が最も望ましいです。しかし、ある生活習慣を10年も20年も被験者に強要するのは、倫理的にも現実的にも難しいので、1年に1度の健康診断結果を収集するなどのやり方で、定期的な「追跡調査」が行われます。

健常者の予防目的に関する「追跡調査研究」であれば、1日当たりのフルーツの最適量に関する研究は存在しますが、食べすぎについて明らかにした研究は私の知る限りありません。

なぜなら大規模調査では、大量にフルーツを食べる習慣をもつ人自体がとても少ないため、統計的に表れにくいためです。ましてや、ヒトを対象にした、1日当たりのフルーツの食べすぎについて長期間調べた「実験研究」は存在しません。したがって、冒頭の「何グラムくらいから、フルーツの食べすぎになるのか?」という問いに対する回答は、ヒトでの信頼度の高い研究がないため、「わからない」が正解です。

15年で計10トンのフルーツを食べた人体実験

私は15年間、毎日2kgくらいのフルーツを食べ続けてきたので、この間、10トン以上のフルーツを食べたことになります。ただし今のところは、糖尿病や脂肪肝や痛風や骨折もなく、いたって健康です。

もちろん、比較グループもないたった1人での実験なので、エビデンスとしてのレベルは低いです。なので「ただ1人の実験データなど意味がない」といった批判もしばしば受けます。しかし、普通ではできない特異な人体実験だからこそ、医学的にも面白いデータが得られることがあります。

ただし、「私も真似できそう」と安易に思うのは非常に危険です。私の場合、実験開始時にはすでに成人しており、自己責任で続けています。独学ですが、栄養学やフルーツ健康学も学んできました。また、毎日、すべての飲食物の重さを計り、摂取栄養素の計算を行っています。

1回のフルーツの適切な食べ方を知るために、採血するなどして、食後血糖値の変化も詳しく調べています。さらに、年に1度の健康診断や不定期の血液検査を続け、健康状態を把握しています。なにより、家族や友人と外食しようと思っても、たいてい一緒に食べられるものがまったくありません。だから、このような極端な食生活はまったく勧められません。

ただし、国が推奨するように、健康のために毎日200gはフルーツを食べることをこころがけていただきたいです。200gの目安としては、Sサイズの温州ミカンなら4個、普通サイズの、リンゴなら半分強、モモなら1個、メロンなら2切れ、キウイなら2個、バナナなら2本くらいです。1度に200gを食べなくても、1日のうちで何回かに分けて食べてもらえれば大丈夫です。

中野 瑞樹 毎日フルーツ200g推進協会代表

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なかの みずき / Mizuki Nakano

1976年和歌山県生まれ。京都大学卒(農学修士)。元東京大学 教員 (工学部)。元アメリカ国立海洋大気局 客員研究員。学生時代は沙漠緑化の研究に従事。2003年にフルーツのもつ魅力に目覚め、消費啓発活動を始める。「甘いから食べ過ぎに注意!」と言われるフルーツの体への影響を調べるため、2009年9月から実験的に、水もお茶も摂らない「フルーツ中心にほぼ果実だけの食生活」を続ける。『マツコの知らない世界』など、テレビ出演多数。

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