西武労組、ストを決断した社長との対決の舞台裏 寺岡・労組委員長「井阪社長は腹を割って話すことがない」

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おお! 後藤、やるじゃないか。

外商セールス出身でお客さまとの関係をつくることに長け、良くも悪くも「いい奴」で、その分、経営陣に対して強く主張することをやや苦手にしていた後藤が、最後の最後に井阪社長に正論をぶつけた。土壇場まで追い込まれて、ついに一皮剥けた。

「後藤書記長は信用できないとのことですが、なんのために株式譲渡を行おうとしているかについて、あらためて申し上げます。要は事業の継続、企業の存続、そして雇用の維持のためにやろうとしているその大元のところはぜひご理解いただきたいと思います。

それをできるだけ速やかに瑕疵なく進めるための手続きをやらせていただいて、一方で事業計画、雇用の維持については真摯にこういった団体交渉の場で話をさせていただきたい」

論点をずらして逃げている

後藤の疑問に対して、井阪社長は真正面から答えようとせず、論点をずらして逃げているように聞こえた。

これまでろくな情報提供もしていなかったにもかかわらず、複雑な内容の会社売却をいきなり「飲み込め」「認めろ」と言われても納得できるはずがない。

セブン&アイ経営陣の口ぶりは、そごう・西武は実質的にもう倒産している企業だと言わんばかりだった。このディールを進めなければ会社が潰れる、3000億もの負債を抱えて生き残っている流通小売業はほかにないと畳みかけ、会社を売るか倒産(清算)するしかないと二者択一を突きつけ、判断を強いる。

しかし、それはおかしいというのがわれわれの考えだった。ヨドバシカメラにだけ有利な契約を慌てて結ぶのではなく、交渉を延期し、再考したり、百貨店事業の継続のためにもっとふさわしい交渉相手を探すこともできるはずだ。

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