西武労組、ストを決断した社長との対決の舞台裏 寺岡・労組委員長「井阪社長は腹を割って話すことがない」
一方組合側は坂本が口火を切った。
「この場で言えないことが推測であるにせよ報道され、私たちが知らないようなことが報道されていること自体が、誠意を持って対応していただけていないと思います。セブン&アイ・ホールディングスとして情報統制しようと思えばできるはずではないでしょうか」
報じられていた25日の臨時取締役会こそ延期されたようだが、それ以外はほとんどの場合、報道された通りにその後の事態が進行している。つまり、リークはあるのだ。それもセブン&アイの相当高いレベルの経営幹部から。「誠意を持って対応していただけていない」という坂本の追及は、私から見れば遠慮気味にさえ聞こえた。
続けて坂本は以前の井阪社長自身の発言との整合性を追及する。
「(25日の)取締役の追加について、経営課題が複雑多岐にわたり、専門的に進めるためと伺いましたが、仮に24日に取締役の選任が株主総会で決まったのだとすると、それも23日の時点ではインサイダーになるから、われわれにも言えなかったということでしょうか」
「その段階では団体交渉の議題ではなかったこともあり、申し上げなかったのかもしれませんが、もともと3名の追加選任を行う予定でした。ただ、それによっていままで私どもが話してきたことが何か変わってしまうとか、重大な変更をもたらすことに繋がるという事案ではなかったことから、報告しなかったと思います」
社長が仰ったことはまったく信用できません!
そのとき、書記長の後藤が突然割って入った。
「率直に申し上げて、いま、井阪社長が仰ったことはまったく信用できません!」
後藤の言葉に、思わず息を呑んだ。
「誠実に協議をするための場である団体交渉が継続しているにもかかわらず、3名の取締役を送り込む行為、この株式譲渡の件に関しては、言葉を選ばずに言うと取締役会決議でホールディングス籍の取締役が過半数を上回るための数合わせだと現場の組合員は思っています。少なくともいま、組合との協議中にやるべきことではないし、納得できません。そもそも、今回の株式譲渡の件はそごう・西武の取締役会でも決議をする事案だと聞いていますが、それは変わっていないという認識でいいでしょうか」
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