モンスト「インド進出」に懸けるMIXIの腹づもり 屋台骨の"方針転換"の背景を木村社長に直撃

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――一方で3年前に構想を発表したモンストシリーズは、サービス終了となりました。スピンオフ作品でモンスト経済圏を拡大する戦略から、大きな方針転換となります。

モンストシリーズでは、普遍性の高いゲームデザインでIPを横展開する戦略を取ろうとしていた。あまり開発費をかけずに大量にゲームを投下しようということだ。

方針転換の理由の1つは、それほどクオリティの高いゲームを作り切れなかったことだ。もう1つは、それなりにプレイされたゲームでも、ユーザー数自体は大きく伸びなかった。定番のゲームデザインのものをそのまま出しても、(新規のユーザーを呼び込めず)国内で面を広げられないとわかった。

MIXIの木村弘毅社長
木村弘毅(きむら・こうき)/1975年生まれ。東京都立大学中退。電気設備会社などを経て、2008年にミクシィ(現MIXI)入社。『モンスト』開発ではプロデューサーを務める。2018年、代表取締役社長執行役員。2023年12月、代表取締役社長上級執行役員CEO(撮影:今井康一)

ただ、(本家の)モンストはすごく堅調で、10周年を迎えた昨年度もアクティブユーザー数や売り上げ、利益を高い水準で積み上げられた。

開発のイニシャルコストが高騰しているゲーム業界では冒険ができなくなっており、新規タイトルの本数自体も減っている。その中でモンストは、コスト効率もいい状態が保たれている。

ならばモンスト自体のポジションをもっと強くしていくべきではないかと考えた。イベントやアニメ、マーチャンダイジングなどで話題を作り、みんなでモンストをやろうという空気感を醸成することで、自分たちの場所を守りにいくのが一番いいのではないかと。

それなりに痛い勉強代だったが、業界全体が過渡期にある中では早めに切り替えられたという感覚はある。

日本のIPを紹介する“見本市”にしたい

――日本ではガチャによる課金が収益柱ですが、インド版はどのようなビジネスモデルになるのでしょうか。

マネタイズの手段が日本とまったく同じということはない。ゲームに課金をしてくれそうなのはミドル層と呼ばれる人たちで、多くは課金というものになじんでいない。今はいろいろなインターネットサービスがインドで成長しているが、アクティブユーザーが億単位の事業でもマネタイズには苦労していて、現状は広告モデルがインドにおける主流となっている。

インド版モンストに数億人のお客さんがついてくれたら、広告モデルは強化しないといけない。実は国内でも広告モデルは一部あるが、それをもう少し厚めにやっていく。

コレクションモデルもポイントだ。モンストは「鬼滅の刃」「ワンピース」などいろいろなIPと月1回くらいのペースでコラボしており、世界でもまれにみるIP集合体だ。インドでは日本のIPの人気が非常に高まっている。日本のIPをインドに紹介するための見本市のような存在になれたらいい。

イベントやアニメ、YouTubeなどの動画を含めて、日本のIPをコレクションする文化をどう醸成させられるかが1つのポイントになる。そのような文化を築いていくことができれば、私たちにもうまみがあるし、(日本版でコラボしてきた)ほかのIPホルダーの方々にも恩返しになる。

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