日本株は「8月中旬」から再上昇する可能性 23日以降の日経平均の見方を教えよう

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これまでのパターンですと、GPIFによる下値買いが入っていたはずなのですが、実際は違っていました。7月に入ってからは買い手としての動きはほとんどありません。

海外投資家は安保法案をめぐる安倍首相の支持率の低下や、上海株の不安定な動きもあって売り越し姿勢を強めました。7月第2週は4382億円近く売り越しました。

一方、個人投資家は5270億円の買い越しでした。7月9日の売買高の急増は、海外投資家の売りに個人投資家が買い向かった結果なのです。

グローバルで運用する海外投資家は上海株が下げたことで日本株を売らざるをえなかったと察しますが、上海株をもともと持っていない個人投資家の懐具合が痛むことはありません。

年末にかけてミニバブル到来も

結局、その後の株価上昇で買い方となった個人投資家の勝利です。この先、国内企業の強い業績を確認できれば、海外投資家は買い戻しに転じるでしょうし、今買いを見送っているGPIFの動向に関しても、日本郵政の上場承認が予想される8月後半以降がポイントとみています。

信託銀行の売買全部がGPIFの売買ではないにしても、昨年後半以降、買い越しの多いときを平均すると月額6500億円に膨らみます。日本郵政の上場成功のために、月額同じ金額で3兆円を年内で買い切ってしまうとすれば、逆算して8月後半から買い付けを始める可能性が高いとみています。年末に向け再びミニバブルが到来するかもしれません。

東野 幸利 国際テクニカルアナリスト

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ひがしの ゆきとし / Yukitoshi Higashino

DZHフィナンシャルリサーチ 日本株情報部長。証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA)教育委員、日本テクニカルアナリスト協会理事なども務める。
 

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