間もなくパリ五輪「アスリート盗撮」は減ったのか 撮影罪施行1年、盗撮防止機能付きユニホームも

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日本学生陸上競技連合(日本学連)で常務理事を務める工藤洋治弁護士は、選手らの不安を訴える。

「選手たち、特に女性選手は、競技中の無防備な姿を撮られて、卑わいな言葉とともにインターネット上にアップされてしまうのではないか、という不安も抱えています」

「撮影罪」施行の効果は?

工藤弁護士はアスリート盗撮の撲滅に奔走してきた。

昨年、盗撮を罰する「性的姿態等撮影罪(撮影罪)」が施行された。正当な理由なくひそかに性的な部位や下着などを撮影した場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられる。

施行から7月13日でちょうど1年になる。アスリート盗撮は減ったのか。

「以前と比べて、不適切な撮影行為は減っている印象です。撮影罪の成立や、これにともなう報道の影響が大きいと思います」

ただし、現行法ではスポーツ選手の胸や尻を赤外線カメラで撮影する行為は盗撮罪の対象だが、着衣の上からねらって写す行為は撮影罪の対象外だ。

今年3月、福岡県議会で、3つの要件、①性的な意図があること、②同意がないこと、③正当な理由がないことを満たした場合は、着衣の上からの撮影であっても「性暴力」であることを明記した条例の改正案が可決、成立した。

工藤弁護士は、この条例を「重要な一歩」だと評価する。

「昨年、衆参両院の法務委員会で『撮影罪』の法案が可決された際、それぞれの『付帯決議』において、アスリート盗撮も規制対象とすることが検討課題として明記されました。さらなる法改正の検討を望みます」

大会運営側も“不適切な撮影”の防止には心を砕いてきた。

アスリート盗撮防止の啓発活動を行うだけでなく、スタート地点の後方などからの撮影を禁止する取り組みを行う競技団体もある。

日本学連主催の大会では、撮影禁止エリアや、撮影の事前申請制度を設けることで「競技観戦を楽しむ方法の一つとしての撮影」と「選手が安心して競技に集中できる環境の確保」との両立を図ってきた。

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