イギリス「政権交代」盛り上がりに欠ける根本理由 選挙結果が表した今のイギリスの複雑な状況

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政治的倦怠感に拍車をかけたのは投票率だった。投票率は約60%で、ブレアが2期目を獲得した2001年以来最低だった。

スターマーはダウニング街での演説で、伝統的な政治制度に対する不満の深さを認めた。「それは国民の心の疲弊につながり、希望や精神、より良い未来への信念を奪っていく」とスターマーは話した。「この傷、信頼の欠如は、言葉ではなく行動によってのみ癒される」。

政党への帰属意識が薄れてきている

LSEのトラバース教授は、近年、伝統的な投票パターンが覆されていると語った。SNSの台頭もあるが、不満を持つ人々がメッセージを送るために選挙を利用するようになったためでもある、と同教授は語る。

「1つの政党に固執する傾向から、新しい政党に門戸を開く傾向へと変化している」とトラバース教授「今の有権者は自分の親のようには投票しない。彼らはもう階級に沿って投票することはない。単純に政党への帰属意識が薄れている」。

今回の選挙は、もう1つ重要な点で過去2回の選挙とは異なっていた。それは、ブレグジットをめぐる議論に支配されなかったことだ。イギリスの2016年のEU離脱決定は、6週間の選挙期間中、ほとんど話題に上らず、両党とも過去7年間の議論を蒸し返そうとはしなかった。労働党は、経済や国民保健サービスといった台所事情に焦点を当てた。

しかし、ブレグジットが議論に登場しなかったからといって、何の役割も果たさなかったわけではない。国民投票が解き放った情熱は保守党を分裂させ、移民問題などで保守党をより極端な方向に引っ張った。

多くの有権者は、ブレグジットがヨーロッパとの貿易を阻害したため、あるいは、ブレグジット推進派に言わせれば、ブレグジットが適切に実施されなかったため、イギリスの経済的苦境をブレグジットのせいだと非難している。

「ブレグジットは今でもすべての根底にある」とトラバース教授は言う。「保守党はブレグジットのせいで自らを傷つけた。さらに、ブレグジットは現在では不人気であり、間違って運用されたと考えられている」。

(執筆:Mark Landler記者)
(C)2024 The New York Times

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