イギリス「政権交代」盛り上がりに欠ける根本理由 選挙結果が表した今のイギリスの複雑な状況
アナリストたちは、スターマーは、せっかちな国民を満足させるために迅速に行動しなければならないと語る。同氏は規制を見直すことで経済を活性化させ、負担の大きい国民保健サービスを強化することを約束した。しかし、イギリスの公的債務は膨れ上がっており、同氏が宣言した「国家再生の10年」を始めるための手段は限られている。
さらに、保守党が23.7%、労働党が33.8%だったのに対し、イギリス改革党が14.3%の票を獲得したことから、イギリスはフランスで台頭しているような強硬なポピュリズムに対してまだ脆弱であることが示唆された。
躍進が目立ったイギリス改革党の狙い
実際、イギリス改革党を率い、ブレグジットの初期の擁護者であったポピュリストの火付け役、ナイジェル・ファラージは、その目的のために自分自身を改革しようとしているようにも見えた。
「イギリス政治の中道右派には大きなギャップがある」と、8回目の挑戦で初めて議会の議席を獲得した後、クラクトン・オン・シーの町で歓声を上げる支持者たちに向かって、歓喜に沸くファラージは語った。「私の仕事はそれを埋めることで、まさにそれに向かって動いている」。
イギリス改革党が獲得した議席はわずか5議席であり、下院内での発言力は限られている。しかし、アナリストによれば、保守党が分裂し、意気消沈し、極右の誘惑に負けている今、ファラージは自らのプラットフォームを利用して保守党を苦しめることができるという。
4日の夜、中道派の自由民主党は12%の得票率を獲得し、議席数を8議席から71議席に増やし、イングランド南部と南西部の保守党に大きなダメージを与えた。ブレグジットに強硬に反対していた同党の優先事項の1つは、EUとの緊密な関係を築くことだ。
イギリス改革党と自由民主党は、イギリス政治の急速な分断化を強調した。労働党と保守党の合計得票率はわずか57.5%で、これは第2次世界大戦後最低の数字である。2019年の両党の得票率は75.7%、2017年は82.4%だった。