イギリス「政権交代」盛り上がりに欠ける根本理由 選挙結果が表した今のイギリスの複雑な状況

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「私たちは変化を望んでいた」と、 ロンドン大学キングス・カレッジのアナンド・メノン教授(欧州政治学)は、イギリス政治の複雑な現状を要約して語った。「とはいえ、労働党に魅了されたわけではない」。

イギリスが中道左派の政党を支持していることは、ヨーロッパ全土、そしておそらくアメリカでも台頭しつつある右派の波とは一線を画している。来週、NATO首脳会議のためにワシントンを訪れるスターマーは、中道派の指導者たちが減少する中、新鮮な存在となるだろう。

アメリカのジョー・バイデン大統領、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、ドイツのオラフ・ショルツ首相といった中道派の指導者たちが消耗している中で、スターマーは新鮮な存在となると見られる。

「左派政策の受け入れ」ではない

しかし、一部のアナリストは、今回の選挙を左派政策の受け入れと解釈すべきではないと述べている。労働党の勝利の大きさは、大政党が小政党よりも有利になりがちなイギリスの「勝者総取り」の選挙制度の影響もある。労働党の勝利はまた、保守党の崩壊の深さを反映しており、イギリス改革党が右派の有権者を吸い上げる力によって拡大した。

「左派への大きなシフトではない」と、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のトニー・トラバース教授(政治学)語る。「労働党は、キーア・スターマーのもとで大幅に穏健化している」。

5日、スターマーは、党の過半数割れを無駄にする時間はないとわかっていることを示唆した。412議席は、1997年にブレア氏が獲得した議席数にほぼ匹敵する。そして、労働党を支持しなかった有権者に手を差し伸ばした。

「皆さんはわれわれに明確な使命を与えてくれた」。ダウニング街10番地に到着したスターマーは、喝采を送る支持者たちにこう語った。「政治に奉仕と尊敬を取り戻すために。うるさいパフォーマンスの時代を終わらせる。あなた方の人生をもっと軽やかにする。そしてこの国を1つに団結させる」。

国王チャールズ3世が政権樹立のために招いたバッキンガム宮殿に移動した数時間後、スターマーは、女性として初めて財務大臣に就任したレイチェル・リーブスを含むトップチームを設置した。

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