大塚家具の「父娘バトル」、今度は法廷決戦へ 久美子氏はすすり泣き、勝久氏は声荒らげる
今回の裁判の行方次第では、この“票田”が勝久氏に移る可能性がある。15億円分の償還がききょう企画に命じられた場合、資産がほとんどないききょう企画は勝久氏から譲渡を受けた大塚家具の株式130万株の代物弁済が現実的になるからだ。もしそうなれば、勝久氏の大塚家具の持ち分は25%を超え、筆頭株主の地位が一段と強まる。勝久氏は裁判の中で「(大塚家具の)40年間で私のいない経営は初めてだ」と不満を漏らしており、大塚家具の経営に再び乗り出す可能性は否定できない。
この裁判は「第2ラウンド」のようにマスコミでいわれるが、すでに2013年10月に始まっている。むしろ、この裁判によって一族の亀裂が後戻りできないところまできたことが、上場会社である大塚家具の経営問題に“飛び火”したともいえる。
勝久氏が15億円の償還をききょう企画に求めているのに対し、久美子氏側であるききょう企画側は「目的から考えて当然に期限延長されることが予定されており、(さらに)5年間延長することが合意された」と反論する。その目的とは、勝久氏が死去した後の相続対策、事業承継スキームの一環というものであり、実質半永久的にロールオーバー(再契約)するものだとして、請求の棄却を求めている。
裁判の泥沼化が経営問題にまで発展
一方、勝久氏側は「相続対策という認識はない」としたうえで、「株式配当約5200万円と社債の利息2520万円との差額約3000万円をききょう企画に取得させるのが目的であり、ききょう企画の役員である自分の子どもたちに分配して、彼らの生計を援助するためだった」と述べて反論している。13日の口頭弁論では勝久氏が「子どもたちは平均で約1億1000万~1億2000万円のマンションに住んでいるが、智子(三女)は8000万円のマンションだった。みんな平等にしたかった」と述べている。
そもそも両者の間で「相続対策」か「生計援助」かで食い違うというわけだ。最大のポイントである償還期限の再延期が合意されたかどうかも真反対だ。償還期限前の2013年2月に両親と5人兄弟姉妹の家族全員7人が勝久氏宅に一度集まっているが、償還期限の合意があったという久美子氏側、一方でそんな話はなかったという勝久氏側。そのまま償還期限が過ぎて、2013年10月の裁判に突入した格好だ。
その後の応酬合戦は激しさを増し、2014年1月にはききょう企画の役員から勝久氏側である長男の大塚勝之氏と妻の千代子氏が解任された。一方、大塚家具では2009年から社長を務めていた久美子氏が2014年7月に社長を突如解任され、勝久氏が社長復帰。逆に2015年1月には父を会長に退けて久美子氏が社長復帰して株主総会で争った、という世間に広く知れ渡った流れとなる。
今年中には判決が出る可能性が高い今回の裁判。大塚家のプライベートなもめ事ではあるが、上場会社の経営問題にもつながるだけに、東京地裁は難しい判断を迫られるのは間違いない。
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