「金持ちエリート政党」に変貌したアメリカ民主党 トランプ&サンダースが前面に出る絶望的状況

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「ニューデモクラット」が出現する過程で注目するべきことは、「ハイテク・デモクラット」と呼ばれる民主党政治家らが、情報技術(IT)など当時の先端技術の将来を見越して、そこへの集中投資を産業政策として提唱したことだ(佐々木毅『アメリカの保守とリベラル』講談社学術文庫、1993年、第2章「ネオリベラリズム」、特に106頁以降参照)。

製造業やエネルギー産業など旧来の産業界は19世紀後半以来、資本家の政党としての共和党と結びついていた。そのため、労働組合依存から脱し民主党の改造を図るニューデモクラッツが新たな産業界と結んで支援を仰ぐのは必然だった。ITを軸としたハイテク業界を通し金融・軍需とのつながりも強めていった。

また1990年代から全地球的な議題となってきた温暖化対策で急速に伸びた新産業も、民主党との結びつきが強い。IT、環境産業ともに民主党の政治資金源となっていった背景は、「ニューデモクラット」という政治運動にある。両新産業の育成にクリントン政権のゴア副大統領が貢献し、のちにも個人的に巨万の富も築いたことは広く知られている。

民主党はやがて、飛躍的に発展する21世紀の新産業界とそこで高収入を得るエリートらと結託する企業政党となる。他方、共和党は衰退産業(製造業・エネルギー産業)と、そこでの職を失ってサービス産業に入り込むなど、不安定な雇用環境に置かれる労働者らの支持をナショナリズムで引きつける政党となっていく。

「大きな政府の時代は終わった」1990年代

ニューディール連合とそのリベラリズム優位の時代は、ドワイト・D・アイゼンハワー、ニクソンという共和党政権時代をも覆って約40年続いたが、産業構造転換という先進国資本主義の歴史的な変化の中で崩壊していった。

その崩壊を劇的なものにしたのは、ベトナム戦争でのアメリカの敗北と政府債務の増大、アメリカ自身の中東政策の過ちも背景に起きた石油危機による激しいインフレなどである。歴代政権の安全保障政策と財政経済政策での失政があやをなすようにして米政治・経済・社会を行き詰まらせ、ニューディール型リベラリズム優位の時代は崩壊した。

代わってカーター・レーガン大統領時代から登場したネオリベラリズムは、民主党大統領でありながら「大きな政府の時代は終わった」と宣言し福祉改革を進めた1990年代クリントン大統領時代に一層の展開をみる。冷戦終結による経済グローバル化の本格的進展がそれを後押しした。

そのグローバル化への反動のようにして起きた9・11テロ後、アメリカはアフガン・イラク戦争をはじめとする無謀な対テロ戦争へと突っ込んでいった。対テロ戦争は約20年間で8兆ドル(約1200兆円)を費やし、米軍・軍属1万5000人だけでなく世界各地で90万人が死亡したと試算されている(米ブラウン大学)。

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