民主党は長年保ってきた「労働者政党」としての確固たる地位を失い始めている。反エリート・反エスタブリッシュメント感情を追い風に、共和党がその座を奪いつつあるのだ。
労働者の共和党支持への鞍替えは2016年大統領選の「トランプ旋風」以前から起きていたが、トランプ前大統領が加速させ、今日もアメリカはその政党再編成の最中にある。
アメリカでは伝統的に民主党は労働者の権利保護を主張するなど、「労働者の政党」として低中所得者層の声を代表する政党として認識されてきた。広範囲の産業で労働者の団結権と団体交渉権を初めてアメリカが定めた1935年全国労働関係法(通称ワグナー法)に署名したのは、民主党のフランクリン・D・ルーズベルト(FDR)元大統領(任期:1933~1945年)であった。
一方、共和党は「カントリークラブの政党」として高所得者層や資本家の利益を優先する政党して認識されてきた。
大統領として初の「スト参加」に映る危機感
「アメリカ史上、私は最も労働組合寄りの大統領」、民主党のバイデン大統領は2024年3月、ラスベガスの演説でこのように語った。同月、バイデン大統領は、全米鉄鋼労働組合(USW)に配慮し日本製鉄のUSスチール買収について、反対を示唆する声明を発表。2023年秋には、ミシガン州の全米自動車労働組合(UAW)によるピケ現場を視察し、バイデン氏は現職大統領として初めてストライキに参加した。
このような言動からも、共和党とトランプ氏への労働者支持拡大に対し、バイデン陣営の危機意識が高まっていることがうかがえる。
これら取り組みも功を奏し、2024年大統領選に向け、UAWやUSWはバイデン氏支持を表明した。だが、労働組合幹部がバイデン氏を支持する一方、傘下の組合員が同大統領選で民主党・バイデン氏に票を入れるということは必ずしも約束されていない。
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