映画館にシニア呼び戻す「ベルモンド作品」の魅力 仕掛け人の江戸木純氏が語った企画の経緯
ベルモンドの代表作というと『リオの男』とか『カトマンズの男』あたりになると思うんですが、『ライオンと呼ばれた男』なんかはサーカス出身の男が、世界各地の雄大なロケーションを背景にドラマを展開する作品で、ベルモンド自身のセルフオマージュという側面もある。そういうのをルルーシュもわかってやっているんですよね。
『おかしなおかしな大冒険』も『007』のパロディーだし、残酷なシーンはサム・ペキンパーのパロディ。最後は大暴走して、ドリフのコントみたいになっています。
監督のフィリップ・ド・ブロカは、世間では『まぼろしの市街戦』の名匠みたいに思われていますけど、本来は暴走系の映像作家。だからこの映画を観ておかないと、その後の『アマゾンの男』などもわからないと思う。「ベルモンド傑作選」を観た方ならこの作品を観ておくと全部がつながるので、ぜひ観ていただきたいですね。
ただ今回の3本は本当に簡単には揃わなかった。全部揃うまでに5年ぐらいかかったので。ここにたどり着くために今まで20本やってきたと言っても過言ではない。まさに「ベルモンド傑作選」として、本当に有終の美を飾ることができた。「グランドフィナーレ」として、一番やりたかったことがまとまったプログラムとなりました。
アンコール上映も実施
――今回はこの3本以外にも上映されるのですか?
アンコール上映といって、今までやった中で人気だった作品を集めて上映します。たとえば『恐怖に襲われた街』なんかは、まるっきりジャッキー・チェンの『ポリス・ストーリー/香港国際警察』。この作品と『華麗なる大泥棒』を足して、そのアクションを香港を舞台にしてやると、そのまんま『ポリス・ストーリー/香港国際警察』になる。

実は香港でもベルモンドってものすごい人気なんですよ。それと今回はやらないですが、『ラ・スクムーン』に出てくる二丁拳銃や、過去の話がストップモーションで止まったりする描写なんてほぼ『男たちの挽歌』です。
1970年代の香港って基本的に香港の映画しかヒットしないところがあったんですが、『華麗なる大泥棒』なんかは年間の興行成績で上位になったりと、実はみんなベルモンドが好きなんですよ。
ジャッキーも昔はベルモンドが好きと言ってたけど、アクションの動き、扉から入らないで窓から出入りするとか、そういうところも影響を受けている。ベルモンドってそういうアクションもすごいし、役者としても本当にすごいので。その辺も見れば見るほど味があって。どれもオススメですね。
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