「消臭力」がトイレから寝室まで勢力を広げた本気 消臭芳香剤大手・エステー「家庭に6個は置ける」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

新規事業への投資も強化する。核となるのが、森林研究の中で発見した技術「クリアフォレスト」の活用だ。北海道の樹木であるトドマツから抽出した成分で、消臭効果や大気汚染低減、森林浴の効果があるという。

これまで法人向けに原料供給や一部自社商品の開発も行ってきたものの、売り上げ規模は大きくなかった。足元では、クリアフォレストのリラックス効果を利用したアロマスティック「ルナマイン」を新たに立ち上げた。手首などに塗って気分転換できることをアピールし、ドラッグストアでの拡販を計画している。

リラックス効果をもたらす森の成分は、家庭だけでなくオフィスなどの需要もあるとみている。今後、積極的に商品を投入していく構えだ。

「創業家」に頼らない経営へ脱皮

エステーの会社の体制も大きく変化している。過去10年間は、前社長の鈴木貴子会長を始めとした創業家が経営の根幹を担ってきた。一方、昨年6月から舵取りを担う上月社長は1987年にエステーに入社後、営業やマーケティングなどを経験してきた生え抜きの社長だ。

上月社長は1987年にエステーに入社後、2009年執行役マーケティング部門担当、2012年常務執行役グローバルマ―ケティング部門担当等を経て、2023年6月に社長に就任した(撮影:尾形文繁)

「これまで、社内には創業家出身の社長が言ったことに従い、それで失敗しても仕方ないという風土が正直あった。今後は全員経営で、社員がアイデアを自分から提案できるよう働きかけていく」と、上月社長は意気込む。

たとえば、若手社員を対象にしたプログラムでは、社外講師による経営に関するレクチャーや海外でのフィールドワークを実施。その後、新事業に関するプレゼンテーションを経営層に行い、期待値の高いアイデアの事業化を目指す。

芳香剤ではP&G、ペットケアではユニ・チャームなど、ライバルとの差は大きい。消臭芳香剤、ペットケア、独自技術など、それぞれ新発想でシェアを奪取できるか。上月社長の手腕が問われることになる。

伊藤 退助 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いとう たいすけ / Taisuke Ito

日用品業界を担当し、ドラッグストアを真剣な面持ちで歩き回っている。大学時代にはドイツのケルン大学に留学、ドイツ関係のアルバイトも。趣味は水泳と音楽鑑賞。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事