自分から話さない人が抱える3つの心理的な障壁 相手へのおもてなしと考えて適切な話題を選ぼう

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だからこそ、最初に「話してもよい話題」を出しておくとよいと思います。相手も「そこまでは聞いていいんだな」と安心して会話ができると思います。

たとえば、

「最近シリアルにハマっていて、毎日食べているんだ」

という話を聞いたら、相手は、

「食生活や健康の話は大丈夫かな」

とわかりますね。

「失敗談」から盛り上がることもある

私は、自動車の運転免許の筆記試験に落ちてしまった経験があります。この筆記試験は、大抵の人が受かるものです。私自身は、軽いネタとしてよく話をします。

ですが人によっては、自動車免許の筆記試験に落ちたというのは「絶対に言いたくない失敗談」として心の深い場所にしまっている場合もあります。

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以前ある人が、私の「筆記で落ちた話」を聞いて、「先生、実は私も自動車運転免許の筆記試験に落ちたんです。それがずっと言えなくて苦しかったんですけど、先生がそう言ってくれてすごくラクになりました。これからは話すようにしてみます」と伝えてくれました。

こんなふうに、話をしても大丈夫な「失敗談」を言うことで、「実は私も」「私もなんです」と、盛り上がることもあります。

コミュニケーションという広い海の上に見知らぬ者同士が投げ出されたとき、溺れないためには「取りつく島」が必要です。そうでなければ、無言の海に沈んでしまいます。その島が三つくらいあれば、途中で話が途切れたとしても、会話が続きます。だからこそ、「話せること」を自分から出していくことが大事です。

ただし、聞きたくもないことまで披露してしまう人もいます。「誰もそんなこと聞いてないんですけど……」と思わず引いてしまうこともありますよね。

コミュニケーションは、相手へのおもてなしです。相手を意識して、適切な話題を選びましょう。

齋藤 孝 明治大学教授

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さいとう たかし / Takashi Saito

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。ベストセラー著者、文化人として多くのメディアに登場。著書に『声に出して読みたい日本語』(草思社)、『読書力』(岩波書店)、『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)、『質問力』(筑摩書房)、『語彙力こそが教養である』(KADOKAWA)、『読書する人だけがたどり着ける場所』(SBクリエイティブ)ほか多数。著書発行部数は1000万部を超える。

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