100万円超の被害も!「サポート詐欺」の悪質手口 「偽警告サイト」へのアクセスは65歳以上が4倍

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しかし、Web閲覧中に多数表示される広告の中から不正広告を判別するのは一般的に難しいのが現状だ。強いて言えば、2023年にサポート詐欺への誘導目的で使われた不正なバナー広告には下記の特徴を持つものが多かったため、こうした特徴から怪しいと気づける可能性はあるだろう(※2)。

・何の広告だか一見してわからないが興味をそそる内容である
・「ここをクリック」「次へ」などクリックを誘発させるような広告である
・広告主の身元確認が完了していない
・広告主の身元確認が完了していても広告主の名前で広告主について明確に調べられない

※1 不正広告以外に、ブラウザ通知やWebサイトへの直接アクセスなどによる誘導もある
※2 特徴は変わる可能性がある

セキュリティ警告が出たら、落ち着いて見極める

サポート詐欺が他の詐欺やサイバー犯罪と明確に異なり、見分けることのできる最大の特徴が、詐欺のプロセスの中で「必ず偽のセキュリティ警告が表示されるステップがある」ということだ。つまり、サポート詐欺の被害に遭わないためには、セキュリティ警告が表示された場合に、まずいったん深呼吸をして冷静になり、詐欺の警告か、それとも正規の警告かを見極める必要がある。

表示された電話番号に電話をかけさせようとする警告や、恐怖をあおったり過度に緊急性を強調したりする警告は、サポート詐欺の可能性が高い。見極めが難しい場合や不安を感じる場合は、表示された問い合わせ先ではなく、あらかじめ確認しておいた正規の問い合わせ窓口に連絡するか、周囲の信頼できる相手に相談することを推奨する。

万が一サポート詐欺サイトにアクセスしてしまった場合に備えて、サポート詐欺サイトへのアクセスを阻止したり、遠隔操作ソフトのインストール時に警告表示を行うセキュリティソフトを利用することが有効な対策となる。

サポート詐欺の潜在的な被害者像としては、高齢者や、ITリテラシーが高くない人、社会的に孤立している人、不安や恐怖を感じやすい人などが挙げられる。これらの潜在被害者層にサポート詐欺の手口や対策方法を理解してもらうことが重要となる。

今後、私たちはサポート詐欺を社会問題として真摯にとらえ、政府・法執行機関・消費者保護団体・金融機関・技術企業・セキュリティ専門家・教育機関、そしてメディアなど、社会全体で一丸となって被害を防ぐために取り組むことが求められるだろう。

東洋経済Tech×サイバーセキュリティでは、サイバー攻撃、セキュリティーの最新動向、事業継続を可能にするために必要な情報をお届けしています。
岡本 勝之 トレンドマイクロ セキュリティエバンジェリスト

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おかもと かつゆき / Katsuyuki Okamoto

製品のテクニカルサポート業務を経て、1999年よりトレンドラボ・ジャパンウイルスチーム、2007年日本国内専門の研究所として設立されたリージョナルトレンドラボへ移行。シニアアンチスレットアナリストとして、とくに不正プログラム等のネットワークの脅威全般の解析業務を担当。現在はセキュリティエバンジェリストとして、それまでの解析担当により培った脅威知識を基にセキュリティ問題、セキュリティ技術の啓発に当たる。

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