ディー・エヌ・エーは、プロ野球・横浜ベイスターズ買収報道を否定、日本市場には魅力ない?!
ソーシャルゲーム最大手のモバゲーを運営するディー・エヌ・エーは、一部で、横浜ベイスターズの買収を提案していると報じられた件について、「そのような事実はない」(広報担当)と正式に否定した。真偽のほどは明らかではないが、報じられたようにプロ野球団の買収はディー・エヌ・エーにとって意味のある選択肢なのだろうか。
TBSの子会社の横浜ベイスターズの業績は、2010年12月期で売上高78億円(前年比6.8億円増)、営業損失が2000万円(前期比4.2億円増)だった。TBSは毎期20億円程度の資金補給をしてこの数字だから、球団運営には数十億円の費用がかかるものと思われる。
プロ球団を保有するメリットは広告効果に尽きるから、この毎期数十億円の費用負担が広告費として割に合うかどうか。ディー・エヌ・エーは2011年4~6月期に50億円以上を広告宣伝費として主にテレビCMに投入している。年間の広告宣伝費は200億円超になる見込みだ。こうしてみると、ディー・エヌ・エーにとってプロ野球団を保有することはフローの面でさほど負担になることはないし、野球団の保有で、「ディー・エヌ・エー」、あるいは「モバゲー」の名前が露出する広告効果を考えると、現在のテレビCMと同様の効果も期待できよう。
問題は買収価格ということになるが、昨年持ち上がった住生活グループによる買収の際は100億円未満と報じられており、その後の球団の状況を考えれば、現時点ではさらに下がっているといえそう。ディー・エヌ・エーは、2011年6月期末で純資産875億円、現預金509億円、しかも無借金という超キャッシュリッチ企業だ。高いか安いかはともかく100億円に満たない買収に財務的なハードルもない。
あながち、荒唐無稽ともいえないベイスターズ買収シナリオだが、今のディー・エヌ・エーが置かれたポジションを考えると、ベイスターズ程度の球団では、むしろ小粒すぎるといえるかもしれない。
国内のソーシャルゲームは、グリーと2強を形成、両者で市場をガッチリ押さえた状態。これからは、スマートフォンの普及で世界を舞台とした競争が始まる。それをにらみ、すでにディー・エヌ・エーは、世界各地でソーシャルゲーム関連の企業を相次いで買収している。この世界市場ではフェイスブックやグーグル、アップル、マイクロソフトなどITの巨人とぶつかることになる。
世界市場での競争を考えるなら、米国の4大スポーツリーグや、欧州の4大サッカーリーグに参入しなければ意味がないといえるかもしれない。
(丸山 尚文 =東洋経済オンライン)
《東洋経済・最新業績予想》
(百万円) 売 上 営業利益 経常利益 当期利益
連本2011.03 112,728 56,096 56,258 31,603
連本2012.03予 147,000 66,000 66,000 37,500
連本2013.03予 160,000 71,000 71,000 42,000
連中2010.09 51,278 25,614 25,363 14,165
連中2011.09予 71,000 32,500 32,500 18,600
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1株益¥ 1株配¥
連本2011.03 218.7 34
連本2012.03予 254.1 38
連本2013.03予 284.5 42.5
連中2010.09 99.5 0
連中2011.09予 126.0 0
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