声でパイロットが「見えてくる」管制官の頭の中 殺到する交信をどうやってさばいているのか

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6人目が入ってきたときは、聞こえたコールサインと手元のリストを照合して、「今加わった6人目が誰なのか」を確認するわけですが、本来はほかの管制官から交信切り替えの指示とセットになって送られてくるはずの、当該便に関する情報が届いていないことがあります。

さらには、パイロットが管制官から指示された周波数とは異なる管制官を呼びこんだり、コクピット内の装置への入力ミスで呼び出し先を間違えるということもあります。

通常、次に呼びこむ予定の周波数は、パイロットの事前準備の段階であらかじめセットしますが、パイロットが数字を見間違えてプリセット(前もって設定すること)している場合もありますし、混雑しているときにのみ、追加的に使用する周波数もあります。

声でパイロットが「見えてくる」

管制官の交信予定のリストにない機が呼びこんできたときは、便名を正確に聞き取り、現在の位置や要求を把握したうえで、本当に自分が指示してよい対象なのかを管制官同士で確認する必要があります。こうしたさまざまな観察を、管制官は耳だけを頼りに行なわなければならないのです。

そういう意味では、管制官はヒアリングがもっとも重要です。イヤホンから聞こえてくる声には、常に神経を集中させます。すると、しゃべっているパイロットが「見えてくる」ようになります。

日本人なのか、それとも英語のネイティブスピーカーなのかはもちろんですが、同じ英語をしゃべっていても、その発音で国籍の違いまで聞き取れるようになります。パイロットの国籍が特定できれば、相手を識別する情報が1つ増えます。

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