「収入を隠さない」女性がお金持ち男性にモテる訳 相手の収入などの経済力を重視する男性が増加

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バブル時代を謳歌した1980年代後半に20代だった現在60代以上の男女からは「そんなのは貧しい男の考えることではないのか」といったような声が聞こえてきそうですが、結婚相談所のようなお金持ち男性の集まる傾向の婚活の場であっても、年収を隠さない女性のほうがお見合いの申し込みが多い状況となっていることを考えると、「貧しい男の考え」といった意見は過去の価値観に基づく誤解であることがわかります。

「私の年収なんか気にする男はいらないわ!」といった強気の婚活は、時代遅れ感があり、統計的には避けたほうがよさそうです。

30年で価値観は激変―親ブロックに注意

同じ出生動向基本調査で、1992年(第10回)の結果と比較すると、1992年では、「相手の収入などの経済力」を「重視する」または「考慮する」を選択した男性は26.7%でした。つまり32年前の調査であれば、約4人に1人の選択だったのです。1992年に18歳から34歳だった回答者は2024年現在、50歳から66歳です。

この年齢ゾーンの男女が30歳くらいで子どもを授かっているとすると、現在20歳から36歳の男女の親世代にあたります。ということは、統計上の結婚適齢期にあるイマドキの男女と、その親世代とでは、大きな価値観変容が生じていると指摘できます。

女性に経済力を求める割合が親世代と比較して若い男性では倍増しているにもかかわらず、娘に対して「あなたの収入なんてどうでもいいから、そんなことを気にしないお金持ち男性を選びなさい」、息子に対して「年収を上げて、妻子を養える力をつけるべき。家庭に入ってくれる方を選びなさい」などといった助言は、かえって子どもの婚活や成婚を妨害しかねません。

これは最近実際にあった事例ですが、結婚相談所で出会って成婚した共働きカップルの女性側の母親が娘に対し再三、「どうして専業主婦にならないの? あなたのお姉ちゃんたちもみんな専業主婦なのよ。早く専業主婦になりなさい」と、専業主婦こそ至高とばかりに、要らぬ助言をしてくるそうです。近年、10年で見て婚姻届に対し35%の離婚届がでる離婚多発状況となっていますが、夫婦カウンセラーの方々からは「親が自分の価値観からこうあるべきと余計なことをいって離婚させる。いい加減にしてほしい」といった声も上がっています。

統計上の結婚適齢期世代とその親世代で価値観が大きく変容した令和時代。こういった「親ブロック」をスルーする力も、令和時代の婚活・円満な結婚生活テクニックの1つといえるかもしれません。

天野 馨南子 ニッセイ基礎研究所 人口動態シニアリサーチャー

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あまの かなこ / Kanako Amano

東京大学経済学部卒。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。1995年日本生命保険相互会社入社、99年より同社シンクタンクに出向。専門分野は人口動態に関する社会の諸問題。総務省「令和7年国勢調査有識者会議」構成員等、政府・地方自治体・法人会等の人口関連施策アドバイザーを務める。エビデンスに基づく人口問題(少子化対策・地方創生・共同参画・ライフデザイン)講演実績多数。著書に『未婚化する日本』(白秋社・監修)、『データで読み解く「生涯独身」社会』(宝島社新書)等。

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