10年間の決算で利益率6%超を目指す--森雅彦・森精機製作所社長
足元では、複合加工機と横型マシニングセンターが絶好調だ。用途はエネルギー、航空機、医療、船舶。横型マシニングセンターの場合は、自動車、航空機のほか、建機や農機も関係する。第1四半期は赤字だったが、上期では黒字を見込んでいる。
地域別では日米欧亜でちょうど4分の1ずつになっている。(アジアでは工作機械の需要が急増しているが)新しい技術は欧米からやってくる。アジアで機械を売りすぎると目先は儲かるが、将来的な技術力の低下につながりかねない。アジア一点張りの商売はしない。
現地メーカーも技術力をつけている。だが中国メーカーのキャッチアップはいくつかの理由でありえない。
まず、メーカーにはオリジナルの技術を追求する責務がある。一方、現在の中国勢はコピーが基本だ。
次に、日本やドイツの機械メーカーが成長した時代は全世界がエマージング(発展途上)だった。だが、10年後、中国の工作機械メーカーが他国に製品を輸出できるような技術力をつけたとしても、その頃世界にエマージングマーケットは存在しない。また、中国との間には政治的な隔たりもあり現在は、(軍事転用可能な)工作機械を日本や米国、NATO諸国に自由に輸出入することが難しい。
さらに、いわゆるベビーブーマーや戦後創業世代のリタイアで、欧米の代理店網は縮小傾向にある。今後、お客さんを維持するには自前の販売・サービス網が不可欠だ。
今後は森精機製作所単独で売上高2000億円、10~15%の営業利益率を出せる体質を目指したい。ギルデマイスターと合わせて売上高4000億円、営業利益500億円が目標だ。同時に、景気の谷間で売上高が落ちた場合の抵抗力もつけていく。
工作機械は資本財であり、アップダウンの激しい産業だ。経営を見るうえでは、5年決算、10年決算という感覚が必要になる。当社の営業利益率を昨年と一昨年に限って見ればマイナス30%台だが、過去10年間では6%を超えている。次の10年間も、平均で6~7%の営業利益率を保てるようにしたい。
(撮影:今井康一 =週刊東洋経済2011年8月27日号)
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