破格の1800万円「スカイラインGTS-R」納得の理由 800台限定の希少車、GT-Rを名乗れなかった1台

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ヴィンテージ宮田の担当者は、このモデルに限らず、1980年代の国産スポーツカーには、「これほど状態がいい車両は、ほとんど出てこない」ことが、高い値づけになった理由だという。その背景には、まず、当時はレース・ブームなどの影響もあり、峠などで、「かなりヤンチャな走り」をしたオーナーが多く、そのぶん、きれいな状態を保った車体が少ないことが挙げられる。

また、この年代の車両は、多くがフューエルインジェクションやパワーステアリングなどを装備していたが、長年、走らずに放置していた場合、モーターなど電装関係の部品が故障していることも多く、純正部品も生産中止のため、修理がかなり困難だという。そのため、例えば、同じ日産のスポーツカーでも、1969年に登場した初代スカイライン2000GT-Rのように、エンジンにキャブレターを使い、電装系もシンプルな車両のほうが、代替品なども入手しやすく、レストアは比較的簡単。エンジンが始動しない不動車でも、なんとか「走るようにできる」そうだ。対して、電子制御なども導入されはじめた1980年代のクルマは、復活させるのが極めてやっかい。中には、走るようにするのが「不可能な車両もある」という。

展示車のホイール
展示車のホイール(筆者撮影)

つまり、今回展示された車両は、もともと限定800台しか販売されなかった超レア車であることに加え、この年代のクルマではほとんど出てこない「新車の状態を保っている」ことが、価格を押し上げているようだ。しかし、車齢的には若いはずの1980年代の国産スポーツカーが、1960年代や1970年代のクルマよりもレストアしにくいというのも意外。それら複数のファクターにより、この車両にかなりの破格値がつけられているのだ。

80年代のモデルも中古車価格は高騰するのか

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いずれにしろ、近年、日本だけでなく、世界的にも人気が高い国産スポーツカーのビンテージモデル。とくに1980年代に生まれたクルマたちは、数々のレースなどでも活躍したことで、「高性能な日本車」というイメージを決定づけた立役者だといえる。だが、レストアが難しいモデルも多いとなると、今後はさらに数が減少し、貴重で希有なモデルが増えていくことが予想できる。

そんな1980年代の国産スポーツカーだが、果たして、その人気はいつまで続くのだろうか。また、次のブームとなるポスト80年代車はなんだろう。例えば、より若い1990年代や2000年代前半のクルマの需要が伸びるなど、今後の動向も興味深い。

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平塚 直樹 ライター&エディター

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ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

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