アスクル、実は「個人用通販」も順調だった 主力のオフィス用品も好調、V字回復に

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ただ最大の脅威として立ちはだかるのがアマゾンだ。ビューティストアを6月に拡大再オープンするなど、これまでロハコが得意としてきた日用品分野に、アマゾンも力を入れてきている。それゆえ「知名度を上げるのが喫緊の課題。戦略上まだ話せないが、策は考えている」(岩田社長)。

アマゾンとは日用品だけでなく、製造・建設業界向け通販でも激しい火花を散らすことになる。6月にアマゾンは「産業・研究開発用品ストア」という、産業用資材や研究開発用品などの間接資材を取り扱うカテゴリーを新設した。MonotaRoがトップを独走する同分野の市場は、数兆円規模とされる。

主力のオフィス用品も盤石ではない。顧客満足度に関する調査を行うJDパワーが発表した、日本オフィス用品通販サービスの顧客満足度調査で、アスクルは3年連続で総合1位を獲得した。しかし、2位の「たのめーる」を運営する大塚商会との差はわずか1ポイント。3位のカウネットとの差も3ポイント。この市場でアスクルのシェアは5割超に達しているとみられるが、競争は激しい。

ヤフーとの関係深化が追い風

今後は、筆頭株主であるヤフーとの協業もさらに重要になってくる。6月にアスクルが自己株取得を行い、ヤフーの保有するアスクルの議決権割合が41.9%から44.6%に上昇。アスクルはヤフーの連結子会社となった。

この結果、たとえばヤフーのサイトからロハコへの送客や宣伝を行うことは、ヤフーの利益にも直結することとなり、より積極的な連携が取れるようになったのだ。現在でもヤフーのトップページでは、ロハコの広告が積極的に展開されているが、露出を一層強化していく方針だ。

品ぞろえの見直しなども加わり、6月の売上高は前年同月比84.1%増という好スタートを切り、オフィス通販事業も同8.4%増と好調を維持している。8月には新たな武器として、ロハコのスマホ用アプリの投入も計画。現時点で内容はいっさい公開されていないが、経営陣はかなりの自信を持っている雰囲気を漂わせる。

通販業界は流通の垣根を越え、競争が激化している。そうした中でアスクルはどんな次の手を繰り出すのか。

筑紫 祐二 東洋経済 記者

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ちくし ゆうじ / Yuji Chikushi

住宅建設、セメント、ノンバンクなどを担当。「そのハラル大丈夫?」(週刊東洋経済eビジネス新書No.92)を執筆。

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