韓国経済、今年の下半期も明るくはならない 3%台の成長率予測は2%台へ

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現代経済研究院は「輸出増加率が5カ月連続でマイナスとなり、景気が急速に冷え込んでいる。5~6月にはMERS感染者の発生で消費が萎縮、サービス業界に打撃を与え、消費への不安心理が経済全般に影響を及ぼす可能性がある」と指摘、今年の成長率が2.6%となる可能性があると予測している。政府も予測値を大幅に引き下げた。

昨年末、今年の経済成長率を3.8%と予測していた企画財政省は最近、3.1%へ下方修正した。15兆ウォン(約1.6兆円)規模の刺激策が効くという話だ。今年4月にそれまでの3.5%から3.1%へ成長率予想を引き下げた韓国銀行もまた、今年7月に発表する修正経済予測において、さらに下方修正した数値を発表するものと予想されている。

韓国国内よりも、国外の状況がまだましなようだ。今年下半期も、先進国は回復、新興国は不振というトレンドが続くものと思われる。米国はドル高により輸出の鈍化が生じているが、消費・労働・住宅市場の指標が継続して改善している。

米国経済は下半期にも緩慢な回復が続くものと思われる。世界経済のネックとなっていた欧州ユーロ圏は、ユーロ安と量的緩和の実施などで生産と消費関連指標が改善されるなど、景気回復モメンタムが明らかだ。昨年末までは、ユーロ圏に懐疑的だったメディアが多かったが、最近はバラ色の予想を含めた報道が相次いでいる。

対外環境はまだましだが…

ギリシャという変数が残されているが、下半期のユーロ圏経済は確実によくなるというのが大勢だ。国際通貨基金(IMF)は今年のユーロ圏の成長率予測を昨年の0.9%から1.5%と予測している。日本経済については食い違う予測が出ているが、1%台の成長は達成する可能性が高く、成長率を上方修正するところが多い。日本は今年下半期、円安による輸出の増加と内需回復など肯定的な雰囲気が続きそうだ。昨年から消費・投資・輸出が一緒になって鈍化していた中国経済の場合、中国政府の景気押し上げへの意欲に注目すべきだ。

中国経済の今年の成長率は、政府目標とする7%には届かないものと思われるが、そうだとしても急激に景気が低迷する可能性は低い。中国政府が基準金利・支給準備率の引き下げと財政拡大など、景気の下支えに積極的になっているためだ。

ただ、輸出より輸入の減少が大きく、韓国経済にとっては大きな負担となりそうだ。新興国の景気はインドとメキシコ、ASEANの一部国家を除いては、おおよそ振るわないものと思われる。主な原資材価格はほぼ右肩下がりのトレンドが続きそうだ。外国為替市場は、米国景気の改善と基準金利引き上げの可能性があり、ドル高が継続しそうだ。国内外では、世界経済の経済成長率はほぼ3.5%前後でまとまっている。

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