京阪天満橋直結のランドマーク「OMM」の存在感 アパレルの集積地として建設された巨大ビル

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京阪本線の線路が地下から地上へ出る上空には巨大な立方体の旧機械棟。旧機械棟と、隣接する駐車場棟の建設にあたっては、分割した構造物のブロックを移動させながら架設していく「トラベリング工法」が採られた。

大川と軌道敷の間に大型クレーンなどの重機の作業スペースが取れないことと、電車の運行に支障をきたさない安全性確保のためという。展示場棟のある場所で、旧機械棟と駐車場棟の地上部分を作った後に、軌道敷の外側に設置したレールを使って順に移動させ、所定の位置にあらかじめ作っておいた基礎部分と一体化させた。

1998年に旧機械棟にあったボイラーなどの熱源設備を改修、本館地下への移設を実施した。旧機械棟の煙突は、かつて灯油炊きボイラーと非常用発電機などがあった名残で、いまは使われていない。

天満橋駅 京阪特急
地下の天満橋駅から旧機械棟をくぐって地上に出る特急出町柳行き(記者撮影)

京阪建物OBの宮原俊明さんによると「熱源設備の更新検討時期に阪神・淡路大震災が発生。軌道敷上の構造物である旧機械棟に重量のある機器を設置していることに経営陣が不安を感じたため、耐震性能では問題なかったが、京阪電車への万一の影響と災害時対応を考慮して本館側に移設」した。旧機械棟は現在、「貸室としてご利用いただけるように、アスベスト撤去工事を完了しテナント誘致中」(同社)という。

窓から眺める水都・大阪

大川に面したOMMからは水都・大阪らしい眺めを楽しむことができる。京阪建物総務部の繁田智子さんは「伊丹空港に着陸する飛行機も近くに見えます。中之島方面の高層ビルや高速道路の景色は、とくに夕暮れから夜にかけて本当にきれいです」と話す。

大阪市内には、いまや“ランドマーク級”の高層建築がいくつもそびえている。が、その先駆けともいえるOMMはベテランならではの堂々とした貫禄を備え、街を見守っている。

OMM 2階会議室
2階の会議室からも大川が一望できる(記者撮影)
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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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