実はトレンド把握に使える「微分」簡単理解のコツ 東大生が解説、さまざまなところで活用されている

✎ 1〜 ✎ 9 ✎ 10 ✎ 11 ✎ 12
拡大
縮小

「体温」とは文字どおり、体の温度のことを指します。手足の先や顔などの表面は季節や環境に左右されやすく、温度が安定しないのに対し、体の中枢部、すなわち内部の温度は、脳や心臓などの重要な臓器の機能を保持するために一定となっています。その温度を、「中枢温」と呼びます。

この中枢温を計測するのが一番正確なのですが、日常的に測るのは困難です。そのため、体の内部温度をより反映しやすく、簡単に測定できる場所として脇や口内、耳などの体の部位が利用されているのです。

脇に挟んだ体温計は、最初は脇の表面の温度を示します。しかし、しっかりと脇を閉じることで徐々に温まり、体の内部の温度が反映されるようになります。完全に内部の温度が伝わるためには、10分以上の時間がかかると言われています。しかし、先ほども述べたとおり、多くの体温計では1分足らずで体温を計測することができます。

ここで使われているのが「微分」です。脇を閉じてから数十秒の間の温度の「変化量」から、どの温度まで達するかを計算し、その結果から10分後の温度を予測し、その値を表示しているのです。

微分を知ると「未来」の変化を予測できる

微分の仕組みがわかると、物事の「未来」の変化を予測することができます。これは、天気予報や、日本の少子化、人口減少の分析にも役立てられています。2023年に公表された「将来推計人口」では、日本の人口が1億人を割るのは「2056年」だと推測されていますが、この推測にも微分が使われているのです。

数学は、思わぬところで世の中に大きく貢献しています。学校で習ったことも、大人になってから学び直してみると新たな発見があるかもしれません。

永田 耕作 現役東大生・ドラゴン桜チャンネル塾長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ながた こうさく / Kosaku Nagata

現役東大生。2001年生まれ。 公立高校から学習塾に入らずに東大へ現役合格。中学・高校は野球部に所属し、部活動と勉強を並行し 「練習で自分の苦手を潰して、試合で自分の力を最大限に発揮する準備をする」という努力の「型」を勉強にも活かして受験勉強を乗り切る。現在は株式会社カルペ・ディエムの教育事業部に所属し、全国の学校や自治体で講演会を実施しながら、まとめた知見を記事や書籍など紹介している。https://twitter.com/NagataKosaku08

 

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT