ryuchellさんに面差しの似た「元女性」の歩む人生 12歳でトランスジェンダーを学び、早期に打ち明け
何度か映像を通して見ているうちにその男性が、昨年急逝したタレントのryuchellさんにどことなく似ていることに気づきました。
私はryuchellさんがブレイクしていた頃、すでに日本に暮らしておらず、昨年亡くなるまで、その人となりをよく知りませんでした。報道を通し、彼女の遺したたくさんの言葉に触れていくうちに、その優しさや洞察力の深さを知りました。夫として生きていくことがつらいと、女性として生きていく決意を表した後は、苛烈な誹謗中傷や、言葉の刃に晒されていたことを知り、胸が痛みました。
ryuchellさんが27歳の若さで命を絶ってしまった原因は、知る由もありません。もっともっと、ryuchellさんがありのままの自分として人生を楽しんだり、輝きを放ち続ける時間が許されてもよかったのではないかと、今でも感じてしまいます。
今年24歳、インストラクターの彼、実は…
ジムの画面の向こうのインストラクターの彼は、フィットネスを通じて今を謳歌し、力一杯輝きを放っているように見えました。ryuchellさんと同じ年代だろうか・・・・・・と、ふとこの彼について調べてみたくなりました。動画の最後にクレジットされた名前を頼りに、ある日検索してみたのです。
そして知ったのです。この「彼」、実は生まれが「彼女」であったということを。
そのインストラクターの名前はメノ・トーマスさん。ニュージーランド出身で、ご本人のインスタグラムから、今年24歳になることがわかりました。
現在も働くフィットネス会社でのロングインタビューによると、メノさんの母親が同じ会社のインストラクターをしており、お父上はラグビー選手というスポーツ一家に育ったそうです。
当初はインストラクターの道を志すつもりはなかったものの、弱冠15歳で素質を認められ、結局母親と同じ道に。インストラクターとして活動し始めた時期が、トランスジェンダーとして性別を移行する「トランジション」の頃とちょうど重なっていたとのことです。
生来人見知りだったメノさんですが、この時期インストラクターとして活動していたことで自分に自信を持つことができ、またセクシャリティについて気持ちが揺れ動いていた多感な時期にも、自分自身を知るための助けにもなったと話しています。
メノさんは双子の姉妹の姉として生まれましたが、メイクやドレスが大好きだった妹とは異なり、おてんばだったそうです。幼稚園の頃から女子らしい服装が嫌で、嫌で仕方なく、12歳くらいの頃からトランスジェンダーについていろいろと学んだり母親と対話をしたりして、その数年後、かなり早い時期にカミングアウトをしています。
驚くべきは、カミングアウトに対する当時の周囲の反応でしょう。ご両親や親しい友人らは「すでになんとなくわかっていた。カミングアウトしたあなたを誇りに思う」といい、また敬虔なクリスチャンの祖父母も「あなたが幸せなら」と理解を示したそうです。
そのうえ、通っていたカトリックの女子校でもサポートがあり、ご本人の希望でカミングアウト後に在籍を続けても、不快な体験をすることはまったくなかったと言います。
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