10両が主力の首都圏私鉄に「短い編成」が残る事情 「ホームの長さが足りない」以外にも理由はある

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東急5050 8両
東急東横線の8両編成車両。「8CARS」のステッカーを貼っている(編集部撮影)

東急電鉄によると、すべての駅で10両編成の列車が停車できるようにホーム有効長を確保しているが、各駅停車しか停車しない駅での延伸部は非常用の通路であって、緊急時の臨時停車などを想定しているという。これらの駅に10両編成を停車させるためには、ホームドアや信号装置などの設備増強工事が必要になるという。需要動向も理由にあり、各駅停車を含む全列車の10両編成化の計画はないという。残念ではあるが、しかたがない。

京王電鉄の京王線・相模原線も10両編成と8両編成が混在している。だが、両線に8両しか停車できない駅はない。利用者が多いだけに10両編成に統一してもよさそうだ。

京王8000 8連と10連
京王線の8両編成各駅停車(右)と10両編成の快速(編集部撮影)

そこで京王電鉄に、「運用の効率性を考えるとすべて10両編成でもいいのでは?」という疑問をぶつけてみると、利用状況(混雑具合)と車両運用(8両編成・10両編成)の検査周期を考慮しているとの返答があった。「細かな分析をしながらダイヤと車両の運用適正化を図っています」といい、混雑している時間帯や優等列車には10両編成の車両を優先して活用し、郊外区間での各駅停車では利用状況に合った8両編成を運用しているという。

2024年3月改正のダイヤでは、混雑が集中する17時台から18時台の各駅停車で10両編成を運用するとともに、ピークから外れた16時台と19時台以降は、8両編成の各駅停車を新宿発として運行しているという。けっこう細かいことをやっているのだ。

乗り入れ先の都合もある

ホームや設備の面で8両編成が残るのが、西武鉄道の新宿線と池袋線だ。新宿線は下落合―都立家政間、下井草―上井草間でホームの長さが8両までしか対応していない。このため、基本的に各駅停車は8両編成で運転している。

一方、池袋線はかつてホームが8両分だった椎名町―桜台間も10両に対応するようになった。しかし、西武鉄道によると保谷近くの電留線(電車を一時的に留置する線路)で8両しか停車できないところがあるため、各駅停車に8両編成が残っているということだ。

西武2000 8連 各停
8両編成の西武池袋線各駅停車(撮影:大澤誠)

以前はホーム長さの制約があったが、10両編成の運転が可能なように改良を図ったのが小田急電鉄だ。2019年3月に代々木八幡駅のホームを10両対応に切り替えたことで、新宿駅発着の各駅停車10両運転が可能になった。現在も各駅停車は8両編成が主体だが、ラッシュ時を中心に10両編成も増えている。

小田急 2000
小田急線は新宿発着の各駅停車も10両編成の運行が可能になったが主力は8両編成だ(編集部撮影)

小田急は小田原線の新宿―開成間がすべて10両対応で、快速急行や新宿発着の急行、東京メトロ千代田線直通列車はすべて10両編成だ。ただ、江ノ島線の各駅停車や町田以遠には6両編成が存在する。

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