着実に進む人民元の国際化

リーマンショック後、ドルに対する信認の低下を背景に中国は人民元の国際化を進めている。すなわち、(1)それまで規制されていたクロスボーダーの決済、本土と香港を含む海外との決済での元の利用の解禁、(2)非居住者の中国本土内外の人民元を保有を可能にすることである。

クロスボーダーの決済は、2009年7月から指定都市、認定された企業のみの試行的な解禁で始まったが、今年1月からは中国の12省、4自治区、4直轄市と世界との経常取引に拡大した。ただ、輸出についてだけは総量規制のため、パイロット企業に限定されている。

人民元の先高感と可能性から人気化、流動性の低さにもかかわらず、人民元決済は09年の36億元から10年には5063億元に、今年1~4月だけで前年を上回る5300億元に達しているという。ただ貿易に占めるシェアはまだ7.3%にすぎない。

また、各国の中央銀行とスワップ協定が結ばれた。これは、リーマンショック後の流動性危機に対応するために、各国間で結ばれたものだが、中国には貿易金融をカバーし、セーフティネットというよりも、貿易決済を促進するために、相手国に人民元を渡すという目的がある。

10年7月からは香港でオフショア市場が動き出した。本土ではモノやサービスなどの実需の裏付けがない取引は認められておらず、CNYレート(上海相場)と呼ばれるが、香港の相場はCNHレートと呼ばれる。

このときは人民元の切り上げ期待が先行し、CNHはCNYよりも2.5%ぐらい高い対ドル相場が立った。国際通貨研究所の植田賢司上席研究員によれば「香港を経由した輸入が増え、本土との差を利用した裁定取引が発生した」という。ただ、その後は、価格はサヤ寄せされてきた。

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