南海高野線の堺東駅、地元民だけが知る「別の顔」 大阪第2の都市の玄関、4つの出口の異なる表情
堺東を通る高野線の電車は巨大ターミナルの難波と橋本・高野山方面を結んでいる。日中の急行に乗れば堺東までは、南海最大のターミナル難波から約11分、大阪環状線との乗換駅である新今宮からは約9分、大阪メトロ堺筋線が乗り入れる天下茶屋からは約6分で到着する。
乗降人員は5万3412人(2022年度1日平均)。難波(19万7258人)、新今宮(8万5999人)、天下茶屋(6万7025人)に続き南海全駅のなかで4番目に多い。上位の駅はJR線や地下鉄との乗り換え需要が背景にあることを考慮すると、ほかの路線が乗り入れない堺東はかなりの健闘といえる。
堺東駅は2面4線の地上駅。帝塚山―金剛間を管轄する堺管区の管区長兼堺東駅長の守道利一郎さんは「4つの顔を持つ駅」と説明する。北と南の2つの跨線橋はそれぞれ東と西に改札口があり、同駅には西出口、東出口、北西口、北東口と4つの出口がある。
まず駅の表玄関といえるのが南西の西出口。高島屋の3階フロアに直結するほか、再々開発されて2021年にグランドオープンした複合施設「ジョルノ」と屋根の付いたペデストリアンデッキでつながる。デッキはさらに堺市役所の敷地まで延びる。堺市役所の最上階21階には無料の展望ロビーがあり、市内を一望できる。
税務署やハローワークなどが入る合同庁舎、少し南には2000席の大ホールを備えた堺市民芸術文化ホール(フェニーチェ堺)と、一帯は行政・文化の中心となっている。駅前のバスターミナルからは堺駅前行きの「堺シャトルバス」が発着して東西の移動手段を担っている。堺銀座商店街は、音楽デュオ「コブクロ」のファンにとって小渕健太郎さんと黒田俊介さんが出会った「聖地」でもある。
東西で対照的な駅舎
対照的に南東にある東出口は跨線橋から階段を下りた地上の細長い通路の先に昔ながらの小さな駅舎。周辺には府立三国丘高校や、前方後円墳の田出井山古墳(反正天皇陵古墳)がある。難波駅のほか、東武鉄道の浅草駅、近畿日本鉄道の宇治山田駅、阪神電気鉄道の神戸三宮駅などの駅ビルを手がけた建築家の久野節は同校の前身、旧制堺中学の出身だ。
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