"G"の悪徳駆除業者 同業者が明かす高額請求手口 セールストークには要注意 100万円の請求例も

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鈴木さんによると、業者に依頼するときは、作業内容や金額をしっかり確認することが大切だという。その際、「一番高いプランにすれば、二度とゴキブリが出なくなる」というセールストークには要注意。

ゴキブリは1~2ミリの隙間があれば入ってくるし、玄関ドアの前で待ち伏せして、人が来たタイミングで一緒に忍び込むケースもある。鈴木さんは、入念に掃除が行き届いた家や、タワーマンションの50階の部屋に出向いた経験をふまえ、「ゴキブリが絶対に出ない家なんてありえない」と断言する。

業者を決めて家に来てもらっても、事前に聞いていない作業を勝手に行われて高額な費用を請求されたら、「頼んでいないので払えません」と突っぱねるべきだ。どうしても拒みきれない場合は、現金で払ってしまうと返金される可能性が下がるので、カード払いにして、すぐに消費者センターに相談するのが得策だという。

後日、Aさんが最初に依頼した業者に記者が取材を申し込んだところ、「Aさんとは契約が成立しなかったので、取材には協力できない」と言うのみだった。

一通り悪徳業者についての話を聞いたところで、鈴木さんがこれまで経験した“修羅場”エピソードを尋ねてみた。先ほどのAさんの家は、ゴキブリが1匹もいない穏やかな現場だったが、中には「大量発生」案件などもあるのでは?

「その方はホストをしている男性で、もともと彼女の家で暮らしていたのですが、1年ぶりに自宅に戻ったらゴキブリだらけになっていたそうで。

キッチンのシンク下の扉を開けると、大きなクロゴキブリが3~4匹いました。冷蔵庫をどかすと6Pチーズの箱があって、箱をトンとたたくたびに1匹ずつ飛び出してきました」

パニックを起こして泣く依頼者も

また、自称・元宇宙物理学者の高齢男性が住むマンションには、飲食店や工場にいることが多いチャバネゴキブリが「見たことないくらい」大量にいたという。

「ずっと放置し続けたのか、数千匹はいましたね。依頼主のおじいちゃんは手でたたきつぶしていました。『興味があれば本棚の本を持って行っていいよ』とおっしゃるんですけど、本の隙間にびっしりとゴキブリがいて……」

そう苦笑する鈴木さん。ゴキブリを見れば「一応気持ち悪いとは思う」そうだが、依頼主の前で嫌な顔をするわけにもいかないので、日々淡々と駆除にあたっている。

緊急SOSの電話をかけてくる人の中には、パニックを起こして泣いていたり、既にホテルや漫画喫茶に避難していたりする人もいるという。

依頼主の男女比は、男性4:女性6ほど。過去には、「彼女の家にゴキブリが出て駆けつけたものの、どうしても立ち向かえなかった彼氏」や、「『ほんとムリなんで!』と全力でおびえる、ゴリゴリマッチョ&入れ墨姿の男性」もいたという。

結局、Aさんの後に依頼が入ることはなく、この日のシフトを終えた鈴木さん。最後にこうつぶやいた。

「ゴキブリがいなくなることはないし、ゴキブリが嫌いな人がいなくなることもないと思う。これからもこの仕事を続けるつもりです」

人間とゴキブリとの闘いは、まだまだ続く……。

(AERA dot.編集部・大谷百合絵)

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