子育てを難しくする「強い親でいること」への呪縛 がんばるのはもうやめて、もっと弱音を吐こう

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実際に私が経験したことですが、今までしっかりしていたはずのお母さんが、子どもに弱音を吐きました。それを教えてくれたその子と、こんな会話をしたことを覚えています。

「なぁ、校長先生。ママに相談されたんだけど」

「ええなあ、あんた、ママに相談されたんだ」

「……どうしたらいい?」

「あんたは、どう思うん?」

「うーん。わからんわ。わからんから、俺、ママと一緒に考えることにする」

「私がママやったら、それってめっちゃうれしいよ」

「しんどい!」って吐き出そう

人間って、弱音を吐けなかったら、息ができなくなります。吐けなかったら、吸えないでしょう? つらいときは、「ああ、しんどい!」「もう、いや!」って、吐き出せばいいんです。

「今、お母さん、困ってんねん。立ち止まってんねん。なあ、どうしていいかわからへんねん。ねぇ、教えてよ」って子どもに相談すればいいんです。そうしたら、子どもはスーパーマンみたいに変身しますよ。

お母さんが自然に弱音を吐くようになると、子どもも自分がしんどいときに弱音を吐いてくれるようになります。

これって、最高の関係性じゃないでしょうか。

『お母さんを支える言葉』(清流出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

親も子も、スポンジみたいに、ストレスや溜め込んでいるものを絞り出すのがいいです。空っぽになったら、お互いにしんどさを受け止め合えるでしょう? 

どちらかがどちらかの溜め息を吸い込んで、もうこれ以上吸い込めなくなったら、ぎゅーっと絞り出せばいい。

本音を出し合えたときに、信頼関係は生まれます。危機を乗り越えるときにこそ必要なのも、信頼関係です。

本当に困ったときにつながるからこそ、信頼できるのですよね。とことん困ったときに「そばにいるよ」と誰かが言ってくれたら、それだけで「この人と一緒にいてよかった」って、思えます。

親子の関係性も夫婦の関係性も、小さな信頼の積み重ねでできています。

木村 泰子 大空小学校初代校長

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きむら やすこ / Yasuko Kimura

大阪府生まれ。武庫川学院女子短期大学(現武庫川女子大学短期大学部)卒業。大阪市立大空小学校初代校長として、障害の有無に関わらず、すべての子どもがともに学び合い育ち合う教育に力を注ぐ。その取り組みを描いたドキュメンタリー映画『みんなの学校』は大きな話題を呼び、文部科学省特別選定作品にも選ばれた。2015年に45年間の教員生活を終え、現在は講演活動で全国を飛び回っている。東京大学大学院教育学研究科附属バリアフリー教育開発研究センター協力研究員

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