庶民は買えない!?マンション高騰は続くのか? 今後のインフレで日本の不動産はどうなるのか

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2つ目が、ロシア・ウクライナ戦争などにともなうエネルギーコストの高騰です。原油価格の高騰は、輸送コストや電気代の上昇を招きます。エネルギーは、建築資材の製造や物流などすべての面に関係し、コストアップの要因となるのです。

3つ目が、世界的な半導体不足です。半導体はエアコン、照明装置、給湯器、床暖房などの設備に多く使われています。建物ができあがっても、設備が入らなければ、オーナーに引き渡しができません。設備系のコストアップも、全体の建築費の上昇に寄与しているのです。

ここまでは各国同様ですが、ここから先は日本固有の事情です。

4つ目が、円安です。先進国で日本だけが低金利政策という一人旅を続けていますが、内外金利差は為替安、すなわち円安を招き、その結果として輸入資材の価格には為替分が上乗せされます。資材の調達コストが上昇しているわけです。

そして5つ目が、これから顕著になる要因で、人件費の高騰です。建設業従事者は1997年の685万人をピークに減り続け、2022年には479万人になってしまいました。2024年度からは、時間外労働の規制や週休2日制の導入など、働き方改革が実施されます。工期の延長や、ただでさえ少ない人手のやりくりを負わされる建設業にとっては、コストアップという茨の道が続くのです。

建設費は大都市と地方で多少異なりますが、地方だからといって、大幅に安くなるわけではありませんし、大都市圏もエリア内ではそれほど変わりません。つまり、製造原価がそれほど変わらないマンションは、やむをえず分譲価格を値上げせざるを得ないのです。

大都市郊外や地方のマンション購入者が富裕層ではない、一般国民とすれば、彼らの多くは収入が増えていないため、結果的に新築マンションはなかなか手に入らない存在になってしまったと言えるでしょう。

投資対象としてのマンション

投資の観点から、新築マンションの建設・分譲を考えてみましょう。

不動産投資は節税などの場合は別として、おおむね運用中の投資利回りと売却時の損益が判断材料となります。このうち、単年度の投資利回り(表面利回り)は、年間賃料収入÷投資総額(土地代+建物代+諸経費)で表されます。正確には保有期間中の賃料総額、出口予想価格、期間中の割引率を加味して計算しますが、賃料収入である程度のレベルを確保しないと、売却時でよほど高い金額で売れない限り、投資する動機付けは得られません。

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