打倒テスラのベンチャーが挑む、エヌビディアの先 車載AI半導体の開発競争が活況、トヨタも参戦
基本的に自動運転は、カメラやセンサーなどで周囲の状況を認識し、事前に定められたルールに基づいて動作を行っていく。だがこの方法では、ごくまれに出現する複雑な道路状況に対応することができない。
目の前に障害物が現れたり、路面状況の悪化など、さまざまなことが運転中には起こりうる。予測不可能なすべてのパターンを事前にルールで定めることは不可能だ。
チューリングは自動運転の課題を、生成AIの活用によってクリアしようとしている。カメラで捉えた周囲の状況を生成AIモデルに入力し、その結果を運転に反映させることができれば、すべてのパターンをルールで定める必要はなくなると考えている。
だが、そこで立ちはだかるのが「計算能力」の壁だ。
エヌビディアを凌駕する性能を追求
ChatGPTのような生成AIをスマートフォンやパソコンで使う際には、計算処理はインターネット経由で高性能なサーバーに任せる。通信時の遅延や、サーバーを動かすための電力がかかることもある程度は許容範囲だ。
一方、瞬時の判断がものをいう自動運転で遅延は許されない。AIを動かすための計算処理はサーバーではなくクルマ側で行う必要がある。となると、おのずと使用できる電力も限られてしまう。超高速かつ低消費電力の半導体が求められるのだ。
実は、サーバー向けのAI半導体で注目されているエヌビディアも、自動運転向けのチップをラインナップしている。このチップで標準的な生成AIモデルを処理するときの速度は、生成AIの処理単位である「トークン」で表すと1秒間に40ほど。一方、チューリングは「最低でも1秒あたり1000トークンの処理ができる半導体の開発が目標」(柏谷氏)としている。
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