サントリーCM「ひろゆき」起用に見る"したたかさ" 成田悠輔はダメなのに、ひろゆきは大丈夫な理由

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この意見には一理ある。

筆者の専門、あるいは専門に近い領域に関してひろゆき氏が発言を行うこともあるが、事実誤認があったり、視点が大きくずれていると感じたり、多くの人に誤解を与えかねないことも少なからずあった。

ひろゆき氏を「ご意見番」としてさかんに取り立てるメディア側にも問題はあると思うが、ひろゆき氏の発言は、専門家から見て首をかしげるところは、筆者に限らず多々あるはずだ(実際、そういう話は別の分野の専門家からも聞いている)。

サントリーが考えた「広告効果」

ただ、今回の起用に関しては、「ひろゆき氏の○○の発言がダメだから、広告を取り下げるべきだ」という根拠となるようなものは見つけにくい。取り下げる場合は、サントリー側の説明は「過去の言動を総合的に判断して」という言い方になるのだろうが、それに対して「具体的にどの言動を不適切と判断したのか?」と逆に追及されることになるだろう。

そもそも、キリンの成田氏の降板自体が、そうしなければ収まらなかったかというと、そうとも言いがたい。キリンや成田氏に対する批判の大きさを考えると、成田氏を起用し続けるという選択肢もありえたと思う(それが最適な対応であるかはさておき)。

現実世界でひろゆき氏に浴びせられる批判も含めて、「広告効果」となるような施策を展開したサントリーは、結局、広告を取り下げることなく、話題を大きくすることに“成功”した。SNSでこの件を批判する人たちより、むしろサントリーはしたたかであったのではないかと思う。

西山 守 マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

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にしやま まもる / Mamoru Nishiyama

1971年、鳥取県生まれ。大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授に就任。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書に単著『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、共著『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社)などがある。

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