我が子と一緒に考える「借金」の意外な経済効果 借金をすることは「いい事」なのか「悪い事」か

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いかがでしょうか?

私は、「お金にはタイムマシンのような機能がある」と考えています。突拍子もない話に聞こえるでしょうか。しかもその代表例が「借金」だと聞けば、さらに意外に思う人も多いと思います。実際、お金は時間を越える力が備わっています。

今、あなたは100万円が必要です。でも手元にお金がない。仕方ないので、今すぐ使わないお金を持っている誰かから100万円を借ります。期限は1年としましょう。1年後、あなたは貸し手にお金を返します。

この一連の流れから「お金の貸し手」を消し去ってみましょう。

今のあなたはお金を持っていない。でも、1年後のあなたは100万円を持っているのです。突き詰めれば、その100万円は「未来のアナタ」から借りたと考えてもいいのではないでしょうか。

返済のための100万円は、仕事をして稼ぐなり、株式投資でもうけるなり、何とかしてあなたが1年かけて貯めたものでしょう。

借金すれば、今のあなたは1年後の「未来のアナタ」を頼りにできるのです。まるでタイムマシンのようではないでしょうか。

さて、今度は貸し手の立場になって考えてみましょう。誰かにお金を貸せば、その間は自分では使えません。貸し手はその不都合を我慢することになる。何かご褒美がなければ、現在の貸し手は「未来の貸し手」を納得させられないでしょう。

残念ながら現実にはタイムマシンは存在しないので、ここで金利の出番となるわけです。金利という手間賃を払えば、あなたは「未来のアナタ」を頼ることができる。余裕がある貸し手は、遊んでいるお金を有効活用して、ちょっとご褒美がもらえる。

「かりる」と「ふやす」は表裏一体

『漫画版 おカネの教室』(玄光社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

こんな形で「かりる」と「ふやす」は表裏一体の関係でつながっています。その本質は、違う時点をつなぐタイムマシンのような役割です。銀行などが仲立ちすることでお金の足りない誰かと、お金が余っている誰かが円滑につながり、世の中全体のお金の過不足がならされて、経済の流れがスムーズになる。

最初にお話しした通り、借金をする・お金を貸す、という行為は「できるだけやらないほうがいい」という価値観が根強くあります。特に借金することにはあまりいい印象は抱かないでしょう。

しかし、借金自体は悪ではありません。むしろ経済が円滑に回るためには欠かせない営みです。ある国がうまく成長できるかどうかは、金融システムの発達度合い、有体に言えば「借金のしやすさ」に大きく影響されます。借金は悪、と断じるのは間違いになることがあるのです。

高井 宏章 経済コラムニスト / YouTuber

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たかい ひろあき / hiroaki takai

1972年生まれ、名古屋出身。1995年、日経新聞入社。マーケット、資産運用などを長く担当。2016年からロンドンに2年駐在し、2020年から退職まで編集委員を務めた。日経在籍時は電子版やYouTubeの「教えて高井さん」の動画解説で親しまれ、キャスターとして「日経ニュースプラス9」にも出演。「高井浩章」名義で出版した『おカネの教室』は10万部超のロングセラーに。Twitter、noteで経済にとどまらず、書評や教育論など幅広い情報を発信している。

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