企業機密か観光か、悩める八幡の"世界遺産"

思わぬ展開に新日鉄住金と北九州市は大慌て

八幡製鉄所のある北九州市と製鉄所を運営する新日鉄住金は6月15日、世界遺産の登録候補となっている4施設を報道陣に公開した。対象となったのは、北九州市にある「旧本事務所」「修繕工場」「旧鍛冶工場」、そして隣接する中間市の「遠賀川水源地ポンプ室」。施設はいずれも新日鉄住金の敷地内にあり、一般には非公開となっている。

このうち、修繕工場とポンプ室は今もなお現役で稼働する設備だ。ただ、現役の稼働施設が世界遺産候補となったことで、課題も浮かび上がっている。

技術の独自機密をどう守るか

現在、八幡製鉄所は3つの地区から構成されている。1つ目が創業の地である八幡地区で、今回この地区から3つの施設が世界遺産候補となっている。2つめ目が戸畑地区で、2014年に改修した大型高炉を備える。そして、3つ目が旧住友金属の小倉地区だ。ここには小型の高炉があるが、2018年には休止する予定だ。

八幡製鉄所では年間2万人の見学者を受け入れている。ただそれは、戸畑地区にある高炉と熱延工場のみで、安全確認の取れている見学ルートがあらかじめ決まっている。もちろん、指定された場所以外の撮影は禁止だ。一方、八幡地区は一般の見学者を受け付けておらず、見学ルートそのものが存在しない。

新日鉄住金が神経を尖らす理由は、八幡地区には電磁鋼板の工場が存在するからだ。電磁鋼板はポスコが不正に技術を取得し、製造・販売したとして、新日鉄住金は日本と米国で訴訟を起こしている。裁判は4年目を迎えたが、今でも継続している。

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