新規事業に必要な「本業への貢献」ストーリー 顧客を引き付ける「フック」、収益を得る「回収エンジン」
一般的には、本業の売り上げ拡大やコスト削減に寄与するロジックを考えると良いでしょう(下図表)。「本業への貢献」は多種多様のため、いくつかの具体例でご説明します。
既存顧客の離脱防止/既存事業への送客
あるBtoCサービス事業者は、「人々の移動」を成長領域として捉え、新規事業を検討していました。世界ではUberやTeslaなどの有望企業が誕生している中、規制の強い日本ではまだ確固たる地位を築く事業者がいない状況であり、事業機会は豊富にあるように思われました。
しかし、事業のテーマ選定は難航しました。日本では既に高品質な交通サービスが安価に提供されているため、新しいサービスに高い利用料を払う消費者は限定的だったからです。
そこでまずは既存顧客の離脱防止と新規顧客の既存事業への送客を目的に、既存事業の魅力を向上させる追加サービスとして開発することにしました。具体的には、複数の交通機関や商業施設のデータを集約し、消費者の利便性を向上させる様々な機能を一括提供するサービスを無償でリリースし、既存事業のブランド名称を使ったうえで、新規サービスから既存事業への自然な遷移を促す設計を行いました。