減り続ける「みどりの窓口」混雑は解消されるのか ネット販売増強や券売機の機能拡充で変わる?

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みどりの窓口の削減はいつ頃から行われたのか。先行したのはJR西日本だ。

JR西日本は2019年2月、京阪神地区のみどりの窓口設置駅数を180駅から2030年度ごろに30駅程度まで減らし、代わりにオペレーター対話型の「みどりの券売機プラス」を50駅から100駅程度に増やすと発表した。

さらに2020年12月には、同社のエリア全体で同年度初頭に約340駅にあったみどりの窓口を、2022年度末に180駅、2030年度末に約100駅まで減らすと発表した。一方でみどりの券売機プラスについては2020年度初頭の約100駅から2022年度末には約180駅に増設し、2030年度末には約200駅まで増やすとしている。

その後、JR九州も2021年12月、48駅の切符販売窓口を2022年3月に廃止すると発表した。

背景にあるのは少子高齢化による人材確保難などの経営環境の変化である。そんな中で、利用者自身でできることはやってもらい、駅係員は乗客のサポートや案内といった「人により行うことが効果的な業務」に注力できるようにするというのがJR西日本の考え方だ。他社も同様の流れといえる。

チケットレス強化で設置駅削減

JR東日本は2021年5月、チケットレス化・モバイル化を推進し「乗車スタイルの変革を加速」するとして、今後の駅や切符販売のあり方を発表した。

その中で、みどりの窓口については一定の利用のある新幹線・特急停車駅や利用の多い駅を中心に「バランスを考慮した配置へと見直す」とし、発表時に首都圏で231駅、地方圏で209駅だった設置駅数を、2025年にはどちらも70駅程度に削減するとした。一方で、「えきねっと」による特急券などの取扱率を2020年度の約25%から2025年度には60%に、新幹線のチケットレス利用率については約30%から70%にする目標を掲げた。

JR東日本 券売機
開業直前の高輪ゲートウェイ駅に並ぶ券売機。新幹線・特急券も券売機での購入が増えている(撮影:尾形文繁)

この発表によると、2020年度の時点で近距離切符以外の利用については約8割が券売機やチケットレスなど、みどりの窓口以外の販売サービスでの購入となっているという。利用者は減っているはずなのに混雑しているのは、少なくなったみどりの窓口に利用者が集中しているためといえる。

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