NTTドコモ社長・山田隆持--過去のガラパゴス化を反省、先頭でなく先頭集団狙う
市場のスマートフォンシフトにより、携帯電話業界は新たな局面を迎えている。そこには商機も広がるが、一方で浮き彫りになってくるのが、世界に先駆けていたはずの日本のケータイの孤立ぶり。ケータイ文化を主導してきた最大手NTTドコモの山田隆持社長に、その現状と今後について聞いた。
──スマートフォンが急速に普及しています。通信事業者にとっては商機となりますか。
スマートフォン時代の到来は大きなチャンスだ。スマートフォンはデータ通信収入を伸ばす最大の原動力となる。2011年度の営業増益要因1400億円のうち、900億円分がスマートフォンの貢献となる予定だ。
一方、スマートフォン導入の影響で、通信量は毎年倍々で増えている。この対応は当然考えないといけない。実はドコモでは、1%の超ヘビーユーザーが全体の3分の1ものトラフィックを使っている。ほかのお客様に不公平になるので、速度規制をしたり、(次世
代高速通信サービスの)LTEでは従量制の料金体系を導入したりと、対策を進めている。
--スマートフォンでは、従来のiモードサービスへの対応も進めていますが、iモードを使いたい人には、従来型の端末でいいのでは?
「スマートフォンを使ってみたい」というお客様の声はどんどん強まっている。その一方で、お客様はiモード機に親しんでいて、ワンセグやおサイフケータイ、公式コンテンツを利用している。「iモード機のコンテンツをやっぱり見たい」という人がおられるわけです。
──ネット上で無料で見られる時代に、有料でも利用したいiモードのコンテンツとは何でしょうか。
iモードではないが、たとえば動画配信サービスの「BeeTV」がそれだ。月額315円だが、会員数は157万を超え、順調に増えている。だから、システムとしてのiモードを移すというより、iモード上の優れたコンテンツを移していくというのがより適切だろう。