NTTドコモ社長・山田隆持--過去のガラパゴス化を反省、先頭でなく先頭集団狙う

おサイフケータイは世界標準を取り逃した

--海外でモバイル電子決済のサービスが立ち上がりつつあります。今年5月にフランスの通信事業者オレンジがNFCという規格のサービスを開始。米グーグルも今秋同じ規格のサービスを始めると発表しました。ところが、日本のおサイフケータイはソニーが推進する別の規格、フェリカを採用しています。二つの規格の争いはどうなりますか。

どちらが世界の標準になるかといえば、これはすでにタイプA、タイプBと呼ばれるNFCの規格に決まったというのが現実だ。技術の標準化は国際機関において、1国1票の投票で決まる。どれだけ日本が頑張っても1票。米国も1票。国数が多い欧州が絶対的に有利で、その意向が強く反映される。日本の技術が進んでいるからといって、それが必ずしも採用されるわけではない。

ドコモとしては、フェリカとNFC、二つの規格のどちらも使えるよう、端末の対応を進めたい。日本国内ではフェリカを利用していただき、海外では国際基準であるNFCを使ってもらう。NFCの機能はSIMカード(契約者情報を記録したICカード)が担っているので、端末内のSIMカードをNFC対応にしていく。さらに、フェリカ用には現在専用のICチップを搭載しているが、15年ごろまでに、フェリカとNFCの両機能をSIMカードに入れられるようにしたい。

──二つの規格に対応すれば、利便性は高まるがコストもかかります。

確かにそうだ。各国のスタートラインが一線だったら、世界標準一本に絞ればいい。ただ、われわれはフェリカを世界に先駆けて始めて、5年間営々と築いてきたものがあるわけです。全国の店舗には、50万台のリーダーが設置されている。これを全部ご破算にしてNFCに鞍替えする、というのはできない話だ。

--日本はモバイルのサービスで世界的に先行してきました。でも先進的だったはずのそのサービスが、いつの間にか世界のマイナー規格で終わってしまう。iモードも同じです。いわゆる「ガラパゴス問題」ですが、何がいけないのでしょうか。

日本の携帯電話は世界の先端を走って、使い勝手も確かによかった。だが、それと世界のスタンダードになれるかとは、まったく違う次元の問題だったということだ。これはわれわれが反省しなければならない。

だから、昨年12月に開始したLTEでは、「先頭を走るのではなく、先頭集団で行く」と強調してきた。単に他社に先んじればいいのではない。皆で共通規格を作って、時期的にも足並みをそろえて導入するということが大事だと学んだわけだ。現行の第3世代の次の規格で、LTEが世界の標準になるのはもう間違いがない。今までのような「ガラパゴス化」は起きないと思っている。

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